日産自動車の資金を私的流用した罪などで起訴されたカルロス・ゴーン前会長の妻、キャロル夫人が、米トランプ大統領に「泣きついた」と話題になっています。
夫人は米英のメディアを通じて「安倍首相に圧力をかけて!」と、大統領に懇願。必死で秋波を送る夫人ですが、当のトランプ大統領の反応は......。
「ベルサイユ宮殿で披露宴」でもフツーの主婦?
カルロス・ゴーン被告の妻、キャロル・ゴーン夫人は(52)は、英BBC放送と米国のテレビ局CNBCのインタビューに応じ、トランプ米大統領に「夫を救って!」と訴えました。
Carole Ghosn is asking President Donald Trump for help
(キャロル・ゴーン夫人が、ドナルド・トランプ大統領に救いを求めている)
ask~for help:~に救いを求める
Carole Ghosn calls for President Trump to back her husband
(キャロル・ゴーン夫人が、トランプ大統領に夫への支援を求めた)
call for:~を求める
back:支援する(動詞)
ベルサイユ宮殿での披露宴など「庶民離れ」した金遣いが報道されてきたキャロル夫人。インタビューでは自らの関与が疑われていることに強く抗議して「私は3人の子どもを育てた主婦なのに、共謀者だと思われている!」と、意味不明な(?)主張を展開しました。「子どもを育てた主婦」だから「共謀者じゃない」と言われても......。納得できない人も多いことでしょう。
ちなみに、夫であるカルロス・ゴーン被告については、「証拠がないのに罪を犯したとされた」「日本当局は非人間的で残酷」と主張。トランプ大統領に、「安倍首相と一緒にこの問題を解決して」と訴えました。
ベルサイユ宮殿で披露宴をあげたり、大統領を巻き込もうとしたり、とてもとても「フツーの主婦」と思えないのは私だけでしょうか。
トラン米大統領に秋波を送り続けても......
2019年6月28、29日の両日に、大阪で開かれる主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)のタイミングに合わせてテレビ出演したキャロル夫人ですが、じつはこれまでも米ワシントンポスト紙に寄稿するなど、あの手この手でトランプ大統領に秋波を送ってきました。
ゴーン氏が置かれている厳しい状況が「不当」だと主張して「同情票」を期待したのでしょうが、残念ながらゴーン夫妻に「同情」する報道はあまりない様子。
さらに悲しいことに、秋波を送られたトランプ大統領も、今のところは「完全無視」。お得意のツイッターでもつぶやいた形跡もありません。少なくとも、今回のG20の場で、ゴーン被告の話題が登場することはなさそうです。
それでは、「今週のニュースな英語」です。今週は、キャロル夫人がトランプ大統領に懇願した「back」(支援する)を取り上げます。名詞では「後ろ」「背中」という意味の「back」ですが、動詞で使うと「支援する」「応援する」という意味になります。
まずは、シンプルな表現から。
We are backing your plan.
(私たちは、あなたの計画を支援します)
語尾に「unanimously」(全員一致で)という副詞を加えると、よりダイナミックになります。
We are backing your plan unanimously.
(私たちは、あなたの計画を全員一致で支持します)
政治的な場面でも使われます。ニュースでよく目にする表現です。
Russia is backing the Syrian government.
ロシアはシリア政府を支援している。
残念ながら、G20に向けたアピールは空振りに終わりそうなキャロル夫人。「完全無視」を装うトランプ米大統領選に、いつまで秋波を送り続けるのでしょうか。
次の標的は、英国の新首相だったりして......。(井津川倫子)