日本経済新聞の2019年4月27日付に、その前日に発表されたデンソーの2020年3月期の業績見通しについて、「純利益20%増 今期、電動車部品伸びる」とあった。
自動車産業をめぐっては、自動運転など新しい技術の潮流「CASE(ケース)」が業績を揺さぶっている。ソフトウエアなどの不慣れな領域での投資や開発の負担が膨らみ、IT(情報技術)大手など異業種との協業、競争も激化。「100年に一度の大変革期」に突入したとされる。
研究開発費かさむも「成長力」でカバー
記事には、デンソーはハイブリッド車(HV)などの電動車部品が好調なほか、前期に計上した品質管理関連などの一時的な費用がなくなること。自動運転システムへの先行投資が増えた影響を吸収すること。HVなどに搭載する「パワーコントロールユニット(PCU)」やモーターなど基幹部品の販売が伸びるほか、カメラやセンサーで構成する「ADAS(先進運転システム)」製品も販売を押し上げること――といった理由を掲げ、自動運転や電動化などへの投資増から研究開発費と減価償却費の合計額が1割近く増えるものの、全体では補って増益となるとあった。
2019年5月8日発行の「SMBC NIKKO Opening Bell」で、デンソーのADAS(高度運転支援システム)関連の売上高は、2019年3月期に1500億円と予定どおりに着地。営業利益でも若干だが黒字化を達成したという。
また、2020年3月期ADAS関連売上高は、トヨタ車への装備拡充により1750億円(前年比16.7%増)、営業利益で100億円を予想。21年3月期についても、トヨタ以外の他メーカーへの拡販も進み、それぞれ2000億円、150億円と順調に成長が続く見通しと分析している。
その一方で、2019年5月29日付の日本経済新聞では、「政府のロードマップでは、2020年を目途に、高速道路でレベル3を実用化。交通量が少ない過疎地などに限定して無人運転する『レベル4』の導入を目標としている。レベル3を想定した2つの改正法(改正道路運送車両法、改正道路交通法)は20年中に施行される予定で、公道を使ったレベル4の実証実験は従来の道路使用許可の規定を適用する形ですでに始まっている」と、書いていた。
事故責任など、個別判断となる部分も多く、市販車への導入や普及に向けた課題が残されているが、システムに運転を任せる「レベル3」の、実用化に向けた法整備が完了したことで、「レベル3」以上の安全システムを搭載した車両が本格的に売り上げ増に寄与する時期は、そう遠くないと考えている。
昨今の高齢ドライバーによる交通事故への対応という視点からも、安全システム搭載車両の普及は「待ったなし」の状況といえる。