2019年6月1日からの改正地方税法で、「ふるさと納税」の返礼品ルールが定められたことに伴い、自治体の約36%が「寄付額が減る」と考えていることがわかった。ふるさと納税ポータルサイト「さとふる」(東京都中央区)が調査、17日に発表した。
ふるさと納税の返礼品をめぐっては競争が過熱。それを「冷やす」ため、総務省は全国の自治体に対して、返礼品額の比率を寄付額の30%までとすることや、返礼品を地場産品に限ることなどの規制を施した。
影響なし「返礼品の内容が悪くなったわけではない」
調査によると、改正地方税法が寄付額に与える影響について、35.9%の自治体が「寄付額が減少すると思う」と回答。その一方で、「寄付額に影響はないと思う」が38.3%、「寄付額が増加すると思う」が24.6%と、6割以上が「影響はない」「増える」と答えた=下グラフ(1)参照。
「減少すると思う」と回答した自治体は、
「地場産品以外の返礼品を取り下げたことにより、寄付数、寄付額の減少が見込まれる」
「被災地支援品として地場産品以外の返礼品を取り扱っていたが、希望者が多く、寄付金額に影響する可能性があるため」
と、人気の返礼品を取り扱えなくなることをあげた。
一方、「影響はないと思う」「増加すると思う」と答えた自治体は、
「ふるさと納税制度の見直しにより、返礼品の内容が悪くなったわけではないため」
「今まで他自治体に寄付されていた方が、制度改正に伴い今後別の自治体に流れていくことが予想されるため、返礼品の発掘やPR次第で寄付額の増加が見込めると考える」
「以前から基準の範囲内で運用しており、他の自治体の見直しにより一律の基準の中で比較されるようになるため、増加を期待したい」
と、その理由をあげる。
また、ふるさと納税の返礼品ルールで「ふるさと納税の返礼品を見直した」と回答した自治体は50.3%。見直した内容で、最も多かったのは「地場産品かどうか」が67.9%。次いで「返礼割合」の41.7%だった。
「電化製品・高額お礼品の取り下げ」が2.4%、「商品券・金券の取り下げ」も1.2%あった。
返礼品に「体験型」 地元に来て楽しんで!
ふるさと納税制度の見直しに関連して、「新しい取り組みを開始した」自治体は3.6%、「新しい取り組みを予定している」が12.0%あった。最多は「検討中」が51.5%、「いまのところ予定はない」と答えた自治体も32.2%あった=下グラフ(2)参照。
新しい取り組みを開始または予定している自治体は、
「体験型など、地元に来てもらえるような内容の返礼品の設定」
「近隣市町村との共通返礼品の設定」
「寄付金を活用した市の取り組みや地域産業について、市民と連携したPRの実施を検討」
といった、地域の魅力を伝える返礼品の開発を検討しているほか、寄付金活用の取り組みの発信方法を検討していることがわかった。
なお調査は、ふるさと納税サイト「さとふる」で取り扱う167自治体を対象に、ふるさと納税の活用状況や制度見直しについて聞いた。2019年5月16~29日の実施。