「消費税が上がると生活の何がよくなるのか教えて」
フリーコメントで「賛成」と答えた人の中には、「こども世代の将来のためには増税は仕方がない」とする意見がもっとも多かった。
「家計の負担は増えるが、増える社会保障費などを次世代に先送りせずに現世代で負担していくことは重要なことだと思う」(40代、パート)
「これ以上、国の借金を増やすわけにはいかない。子供たち世代の豊かな暮らしのためにも、生活を切り詰めてでも増税を受け入れようと思う」(40代、派遣社員)
といった声に代表される。また、
「幼稚園無償化はとてもありがたい」(30代、今は働いていない)
などと、増税を前提に行なわれる幼児教育・保育の無償化に期待する声もあった。
一方、反対する人に圧倒的に多かったのは、「景気の良さを感じない。収入が上がらないのに支出が増えて苦しくなる」という声だ。
「高所得者層には全然問題ないが、低所得者層にはかなりつらい。格差が広がるのは必至」(50代、アルバイト)
「増税できるほど景気はよくなっていない。今はタイミングが悪い」(40代、派遣社員)
「消費税を上げる前に、消費が上がる景気対策を練った方が税収は上がる」(50代、公務員)
などに代表される。
また、こんな疑問の声も目立った。
「過去に消費税が段階的に上がったが、何がどのようによくなったのか、生活の変化がわからない。さらに10%に引き上げ、どうよくなるというのか? 家計の負担としか考えられないのは、国の変化が目に見えて分からないからだ」(40代、派遣社員)
それにしても、景気の悪化が懸念されているのに、前回よりも働く女性の間で反対の声が弱まっているのはなぜだろうか。川上さんはこう指摘する。
「働く女性たちが、一消費者としての目線だけでなく、大局的見地から国の将来を考えていることがあると思います。その上で、前回調査時との違いとしては大きく三つの要素が挙げられます。一つは10%への増税がすでに2度延期された点。増税が必要と言われながら先延ばしされてきたため、そろそろ上げたほうがよいのかもしれない、という心理へと傾いてきたのでしょう。
二つ目は、消費税増税を前提とした幼保無償化が決まったこと。メリットが具体的に見えている点は、増税を容認する根拠になると思います。三つ目は、将来に対する不安が強まっていることがあげられます。欧州を中心に、福祉環境が充実している国の消費税率は日本よりはるかに高く、先々の暮らしへの不安感から増税やむなしという考えを持つ人が、この5年の間に増えた可能性があります」