ラグビーW杯も東京五輪も「チケット転売禁止」
最近、イベント主催者(興行主)が第三者への譲渡、転売を禁止しているチケットが増えている。こうしたチケットは、裏面などにその旨を記載している。これは、人気イベントのチケットを数百枚も買い占め、不当な高値で転売する「転売ヤー」が横行しているからだ。6月14日から施行された「チケット不正転売禁止法」も、こうした利益目的での転売行為を、罰則を設けて取り締まることを目的にしたものだ。
ラグビーW杯も大会組織委員会の公式サイトで購入したチケットでないと基本的に使えない。東京五輪・パラリンピックに至ってはもっと厳しく、事前にチケット購入を希望する際にID登録をした人でないと会場に入れない。民間のチケット販売サイトやフリマアプリでの購入・転売を禁止しており、メルカリ、ヤフー、楽天の3社も東京五輪チケットを取り扱わないと表明しているほどだ。
だから東京五輪の場合はキャンセル禁止だ。どうしてもチケットを無駄にしたくない人は、大会組織委員会の公式リセールサイトで定価と同じ価格で売りに出すことになる。
玉木さんはこう説明する。
「このように転売チケットでは入場できないことを知らずに購入する人が非常に多いのです。コンサート会場などでは、購入した本人かどうか確認するところが増えているし、顔認証するところさえあります。転売チケットを購入後に使えないチケットであることを知り、取引をキャンセルしようとしたが、転売仲介サイトがキャンセルに応じてくれないという相談が増えています」
転売仲介サイトの多くが、海外のサイトなので代金返還の交渉が難しいうえ、「当事者間のトラブルに原則として介入しない」と利用規約に定めている所が多い。チケットそのものは偽物ではないから、「詐欺」に当たらない。また、新法の「チケット不正転売禁止法」は、チケットを高額で転売することを業とする個人(転売ヤー)を取り締まるものであり、転売仲介を取り締まる規定はないから、サイト運営者の責任を問うこともできない。
それやこれやで、転売チケットが最初に購入した本人でないと入場できないことを知らなかった方が悪いのだ。玉木さんはこうアドバイスする。
「転売チケットを購入する際には、必ず公式サイトで確認しておくことが大切です。チケットの規約で、第三者への譲渡や転売を禁止されていないか、入場時の本人確認が必要かどうかなどです。また、チケット転売仲介サイトによっては、転売したチケットで入場できなかった場合に補償サービスをするところもありますから、確認しておきましょう」