メンバーは「お互いに触発し合う関係」に
関島さんが本書のオリジナルを上梓したのは10年前。今回、改訂版に取り組んだのは「仕事を取り巻く環境が一層複雑になり、一人では解決できない問題がふえて、チームによる解決が求められる場面が従来にもまして増えている」ことが理由だ。チームビルディングの技術そのものは古くはなっていないといい、チーム編成のプロセスを論じるたたき台に、古典とされる「タックマンモデル」が用いられており、人事・人材系の入門書としても有効のようだ。
現代に合わせたアレンジはさまざまに提案されているが、なかで工夫が求められているのはメンバーの集め方だ。必要なのは「お互いに触発し合う関係」を促す構成。それがなければ、和気あいあい時代の「個人の力を足した」だけの成果にとどまってしまう。チームビルディングで最も期待されるのはメンバー相互の交流で起きる化学反応であり、そのために「何より必要なのは、多様性と異質性」という。
「多様性と異質性は、新しいアイデアの源泉。それは、ちょうど酸素と水素が反応を起こして水という新たな物質ができるように、異なる意見がぶつかることによって、新たなアイデアが生まれる可能性が高まる」と関島さん。
異業種の企業の間で近年盛んなオープンイノベーションも、お互いになじみのない業界とチームを組むことで、化学反応が起きる可能性が高まるからとされる。本書では、チームの構成メンバーとなって化学反応の主役になるためには、一人ひとりのビジネスパーソンが、自律型プロ人材である必要を説いている。
「改訂チームビルディングの技術」
関島康雄著
経団連出版
税別1500円