市場からの退場につながる旧態依然
時代に即した運営に余念がない企業は、チームビルディングにも長けているようで、斬新な製品が次々と開発されている。企業の枠を超えたチームビルディングも近年は盛ん。異業種間提携により予想を超えるような成果も期待できるオープンイノベーションといわれる試みが相次いで発表されている。
本書の著者、関島康雄さんは日立製作所に勤務し、系列会社の社長などを務めたのちに人材開発コンサルタント会社の代表に就任。人材育成やキャリア形成などについての著書がある。仕事柄、職場についての悩みごとを聞く機会も少なくない。しかし、その悩みの原因というのは、体制の旧態依然が原因。「まわりの状況が変わったのに、昔とあまり変わらないやり方しかしていないから。いままでのやりかたではうまくいかないのだ」と切り捨てる。
デジタルカメラが登場したとき、フィルムのトップメーカーだった米コダックは高品質のフィルムを低価格で提供すれば競争は可能と考え事業を継続。一方、日本の富士フイルムは、デジタル技術が急速に進歩することを見越し、素早く化粧品などの分野に参入したものだ。「どちらの判断が正しかったかは明らかで、いまやカメラ用フィルムのビジネスは存在しないといっていい。AIやビッグデータ、自動車の自動運転などの技術が、同じような結果を生み出すことは疑いがない」と関島さん。