「どうしたら、もっと社員のモチベーションを高められるか」
「どうしたら、もっと社員が自発的、自律的に動いてくれるか」
「どうしたら、もっと社員が自らの効率性を考えて動いてくれるのか」
これらは、非常に多くの中小企業経営者が私に投げかけてくるお悩みです。一方、私が見てきたこれらのお悩み解決に向け動いた社長の失敗体験には、次のようなものがありました。
ニンジンをぶら下げないとやる気が出なくなる
社員モチベーションの向上が、お悩みのタネだったA社長は、いわゆる販売コンテストを実施しました。
実施期間を決めた成績優秀者に対する特別ボーナス的な報奨金制度です。しかし結果は、報奨金の獲得が狙えるような、そもそもある程度モチベーションが高いスタッフだけがやる気を見せ、それ以外の社員にはほとんど効果がありませんでした。
しかも、「コンテストをやった結果、受賞層の社員もコンテストがないとモチベーションが上がらないような悪癖をつけてしまったようだ」という悪影響もあったようでした。
「なぜうちの社員は、自分から発案したり提案したりしないのか」というのが口癖だったB社長。幹部社員を集めた会議への同席を辞めて役員にその運営を任せ、「必要なことは君たちで決めて、結果を報告するように」と指示して、しばらく様子を見ることにしました。
結果、会議は各部門からの報告会に終始し、恐ろしいほど新しいことを決める議論に発展しない場と化してしまいました。社長は「このままでは会社を潰されかねない」と、自分が検討事項のすべてに指示を出す会議に戻しました。
この一件について、幹部社員の一人に聞いてみると、「習慣づいていないことを求められても、いきなりは無理」との答えでした。