ビットコインの価格が2019年1月から6月にかけて、30万円台から90万円後半まで上昇しました!
テレビやインターネットのニュースでこの上昇について取り上げられているため、多くの人が再び注目していることでしょう。
そもそも2018年初頭に、220万円から80万円まで暴落したため、「ビットコインは死んだ」などと言われたこともありました。それが今、見事に復活を遂げようとしています。
ビットコイン、価格上昇の要因は3つ
では、どうしてビットコインの価格が上昇しているでしょうか――。ビットコインの価格が上昇している理由は、
1. 仮想通貨業界の法整備の進展と大手企業や金融機関の参入
2. ビックイベントの開催
3. マイニング事情の好転(中国のマイニングの活発化や新たなマイニングマシン販売が盛況)
の、大きく3つがあります。
《仮想通貨業界の法整備の進展と大手企業や金融機関の参入》
まず一つ目に、世界的に業界基準が整ってきたことがあげられます。具体的には、法整備が進み、それに伴い投資家が安全に取引できる環境が整ってきました。
日本では、2018年にコインチェックとザイフがハッキングを受け、合わせて600億円以上の仮想通貨が流出してしまいました。これを教訓に新たに改正案がつくられ、2018年5月31日に成立しました。
これにより、交換業者の顧客資産の保護能力が向上しました。改正案の中には「仮想通貨取引所がハッキングされ、オンラインで保管していた顧客の仮想通貨が盗まれたら、その分は取引所が補填する」という旨の項目が追加され、これにより顧客資産がすべてなくなるという可能性は非常に低くなりました。
また、ICO(Initial Coin Offering=新規仮想通貨公開。独自の仮想通貨を発行・販売して投資家から事業資金を集める仕組みのこと)は、世界的に金融当局に厳格に監視されることになり、投資家は以前よりも安心して参加できるようになってきています。
これらの前向きなニュースが報道され、これまで躊躇していた投資家がより参入しやすい環境になりました。
ヤフーに楽天、仮想通貨取引所の参入続々と......
加えて、2018年に滞っていた仮想通貨交換業者登録の審査が進み、19年4月には国内の仮想通貨業界で一番の資本力を持つディーカレットが、5月にはヤフーが参加するTAOTAOがサービスを開始しました。6月には楽天ウォレットが控えており、LINEの運営する交換業者の登録も期待されています。
取引所以外のニュースでは、ヤフーの子会社が仮想通貨メディアのコインデスクジャパン(CoinDesk Japan)をリリースしました。米大手メディアであるCoinDesk(コインデスク)の日本語版であるため、これまで以上に世界中の仮想通貨の情報が日本人に伝わりやすくなりました。
海外では、ニューヨーク州で仮想通貨のリップルを証券とみなす議論があがっており、これによりNY住民はリップルを取引できませんでした。しかし、2019年5月に米大手取引所のコインベースが同住民にリップルの取引や送受信サービスの提供を開始しました。仮想通貨への規制が厳しかったNYで受け入れられることは、大きな進展となりました。
また米大手商品先物取引プラットフォームのbakktが仮想通貨の取引と保管サービスを始めることを発表しました。その後ビットコインの価格が5万円上昇し、90万円台に到達しました。このニュースを受けて新たな投資家が参入したと思われます。
《ビッグイベントの開催》
コインデスクが主催する世界最大規模の仮想通貨イベントである「コンセンサス(Consensus2019)」が5月に開催されました。世界中から事業者や投資家、開発者が集まり、ときには重大なニュースが発表され、価格上昇に起因することが多いイベントです。
2017年にはZcashとJPモルガンの提携が発表され、ZECの価格は短期間で3倍に上昇しました。
2019年もこのイベントに向けて相場が盛り上がり、ゲストスピーカーとして参加したプロジェクトのトークンの多くは上昇し、相場に追い風となりました。
マイニング大手が80億円を投じて採掘設備を強化
《マイニング事情の好転》
さらに、中国における季節的なマイニング(採掘)環境の変化と、新たなマイニングマシンの登場が、ビットコインの価格上昇の要因になっていると推測できます。
マイニングとは、分散台帳であるブロックチェーンにデータを記録する作業のこと。またビットコインでは、安全性を高めるためにPoW(プルーフオブワーク)と呼ばれる合意形成方法が採用されており、このマイニングが大きな役割を果たしています。
中国では、5~9月の雨季に水力発電が活性化して電気代が大幅に安くなります。それによりマイニング参加者が増え、ビットコインのハッシュレート(計算強度)が上がることで、システムがより活発かつ安全に稼働している印象を、世の中に与えます。それがビットコインの購入を判断する際の、好材料となります。また、投資家はマイナーが参加するのは採算がある、つまりビットコインの価格が上昇することを見越していると判断し、購入の判断材料とするケースもあります。
大手マイニング業者であるビットメインが、約80億円を投じてマイニング設備を強化したと報道されたことは、よい影響を与えました。さらに、新たに販売したマイニングマシンに注文が殺到。それらはビットコインで購入されるため、ビットコインの需要につながり価格が上昇したとも考えられています。
ビットコインに限らず、価格の変動はさまざまな要因がからみ合っているため、一概にコレだ! とは言えません。しかし共通して言えることは、いずも投資家にとってポジティブなニュースであったことです。これらのニュースがここ数か月の間に立て続け報道されたことで市場参加者が増え、仮想通貨市場全体に活気が戻ってきていることは間違いなさそうです。(ひろぴー)