最近、少々太りぎみの私は、友人との会食などで記念撮影をするたびに、少しでも細く見えるよう、顔や体の角度を気にするようになりました。
そしてSNSにアップされた写真を見て、残念な気持ちになることもしばしばあります。そう、思ったよりも細く見えない......。女性であればこのような経験をした方も多いのではないでしょうか。
同僚教諭が無断で女性教諭の写真を撮影、公開
撮影者である友人はとても素敵に写っているのに、わたしときたら、カメラを見ていない、目を閉じている、そして二の腕が太いぞ~! でも、友人を怨んではいけないのです。だって、事前に「投稿していい? タグ付けしていい?」と訊かれ、「いいよ」と答えたのは、わたしなのですから。
さて、職場には写真撮影が苦手という方が一定数います。カメラを向けられること自体がイヤ、容姿にコンプレックスがあるなど、理由はさまざまです。
事前の承諾があればまだしも、承諾なしに自分の写真が会社のホームページやパンフレット、SNSなど不特定多数の人が見る可能性のある場所に公開された場合、ハラスメントと捉えられる可能性があります。
このような裁判がありました。
同僚の教諭が無断で、原告である女性教諭の写真を撮影したこと、その写真を学校関係者の目に触れる状態にすることを繰り返したことによって嫌悪感を募らせたこと、そして女性教諭は校長にそのことを相談したのに、校長が同僚教諭に対して無断で他の教諭の姿態を撮影し、その写真などを公開しないよう周知徹底しなかったことなどを理由に、労働契約上の安全配慮義務違反を理由に損害の賠償を求めたのです。(2018年11月29日/東京高等裁判所/第19民事部/判決/平成30年(ネ)3412号)。
「軽い気持ち」が思わぬトラブルを招く
この裁判例は、訴え自体は退けましたが、仕事上の受忍限度を超えているのに、かまわず撮影したような場合には違法となる余地を認めました。
このように、スナップ写真だから大丈夫だろう、顔が少々写り込んでいる程度だし、後ろ姿だから平気でしょ、という軽い気持ちで利用すると思わぬトラブルとなります。
写真撮影の前には可能な限り可否を確認し、その写真を利用・投稿する前には許可を得ること、そして苦手な人に無理強いしないのはもちろん、「協調性がない」「空気が読めない」などの陰口を言わないことも大切です。(篠原あかね)