―― Deep Think Roomができて一番変化を感じるところはどこですか?
井上さん「一番変わったのは『集中を予約する』ということで、これが画期的なことだと思います。DeepThinkの時間を持つことで、その時間から逆算して仕事を組み立てるようになりました。DeepThinkの時間に向けて、事前情報を集めたり、どんなアウトプットが必要なのかを考えたり、 大切な時間だからこそ、一人で考える時間に向けての前準備をするようになりました。
また、DeepThinkの際の頭の使い方は、ふだんとは違う気がします。今までは無意識にやっていたのかも知れませんが、意識的に脳のモードを変える(コントロールする)ようになりました」
―― 今後、実現したいことはありますか。
井上さん「社内が共創の時間と独創の時間を切り替えて仕事をできるようになってほしいです。『いつでもなんでも聞いて』というスタイルは、集中のためにはよくないかもしれません。もっと、一人で悩んだり、一人で深掘ることが重要なんじゃないかと。働き方のカルチャーを変えていく必要があると思います。
ただ、日本人的な感覚なのかもしれないですが、正面切って『話しかけないで』とは言いづらい。それを自然な形で解決してくれるのが、DeepThinkのための空間なのではないかと思います」
(聞き手:井上一鷹)
《プロフィール》
井上 あきの(いのうえ・あきの)
パナソニック イノベーション戦略室
パナソニックラボラトリー東京 所長
松下電器産業(当時)入社後、2012年よりPanasonic R&D Center Singaporeへ出向、同社社長。2015年よりパナソニック 全社CTO室に出向復帰し、2016年にPanasonic Laboratory Tokyoを立ち上げ、拠点責任者として企画運営全般を担当。