「国に言うことじゃなくて、自分の会社に言うこと」
ところで今回の論争、国会で野党が厚生労働大臣を問いただす問題だろうか、と根本大臣に同情する声もけっこう多かった。
「国に言うことじゃなくて、自分の会社に言うこと。民間企業の靴にまで政治が介入する方が怖い。労使交渉で決めればよいことだ」
「わざわざお上が強制するなということではない。本当に苦痛で業務に差しさわるなら、使用者と協議すべきで、各企業の事情に厚労省が介入すべきじゃない。男性だってスーツと革靴は楽じゃないが、TPOを考えて服装選択しているだけ。それが嫌なら服装が自由な企業を選択するしかない」
「パンプス問題は子供の制服や校則に共通するものがある。それらすべて動きやすさや機能性を最優先すれば通学靴、制服は無用になってしまう。大臣の言葉足らずが招いたことではあるが、社会通念上の身づくろいの一つがパンプス問題だと思う。大臣は、世論を巻き込んで問題化するのではなく、規則の変更は個々の学校や企業のなかで交渉すべき事を言いたかったのでは」
というのだ。
ただ、国に積極介入してほしいという声があることも確かだ。
「私はパンプスでも普通の靴でもよいように、むしろ政府が口出ししてほしい。そうでもしてくれないと、企業は無意味なルールを変えてくれない。接客業で、何センチのヒールとかマニュアルに書いてあるチェーン店が結構あるのです」
「お上」という外圧がないと、日本の企業は変わらないというあきらめがあるようだ。
(福田和郎)