初体験「軽減税率」はレジ使って対応を 事業者に補助金活用呼びかけ

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   2019年10月の消費税の引き上げと、それに伴う初の軽減税率導入に向け、経済産業省と中小企業庁、日本能率協会は6月に全国8か所で、準備が不十分な小規模店舗などを支援するための「軽減税率・キャッシュレス対応推進フェア」を企画している。

   4日と5日には、その第1弾として、総決起大会を兼ねて東京で開催。会場の東京国際フォーラムには、世耕弘成経産相や日本商工会議所の三村明夫会頭らも駆けつけ、取り組みへの強化を呼びかけた。

  • 「軽減税率対策のためのレジ・システム補助金について」と題して講演する中小機構の前田課長
    「軽減税率対策のためのレジ・システム補助金について」と題して講演する中小機構の前田課長
  • 「軽減税率対策のためのレジ・システム補助金について」と題して講演する中小機構の前田課長

小売り、サービス、飲食業で「支払いが変わる」

   フェアは半年後に迫った消費税率の引き上げなどに伴う、新たなレジ・システムへの移行を前に、対応が必要な小売りやサービス、飲食系の事業者の中でも、とくに街の店舗経営者や中小企業のあいだで準備が手付かずのままの状態が目立つことから企画された。

   この機会を利用しての「キャッシュレス化」についても知ってもらおうと、レジ・システムの導入を推進している日本能率協会とともに開いた説明会だ。

   中小企業庁の中小企業政策上席調整官、笹路健さんは「商店主は軽減税率への対応とともにキャッシュレス化にも関心が高い。それで、この二つを車の両輪と考えて今回のフェア開催となった」と話す。

東京のフェア会場で催しについて説明する中小企業庁の笹路上級調整官
東京のフェア会場で催しについて説明する中小企業庁の笹路上級調整官

   10月に実施される消費税率の引き上げ(8%→10%)では、低所得者の保護を目的に「生活に最低限必要なもの」について軽減税率(8%)が適用される。対象は主に飲食料品で、品目別のほか提供の仕方などによっても税率が変わる。つまり、さまざまな取引で複数税率への対応が必要だ。

   このため中小企業庁や、中小事業者を支援している独立行政法人・中企業基盤整備機構(中小機構)では、小売り、サービス、飲食業などでは「支払い方法が変わる」ことを強調。簡単な手続きで利用できる補助金を用意して、事業者らに軽減税率やキャッシュレスに対応したレジへの切り替えや新規導入を呼びかけた。

あと3か月、補助金の対象期間は9月30日まで

   フェアでは、中小機構で軽減税率対策費の補助金について、責任者を務める前田和彦課長が「軽減税率対策のためのレジ・システム補助金について」と題して講演。「すでにレジをお使いでしたら、まず、メーカーに10月からどうしたらいいかをお尋ねください」などとガイダンス。新規導入、既存レジ改修について費用の4分の3を補助することや、補助金の対象期間が9月30日までであることなどを繰り返しながら説明した。

   レジを使って複数税率に対応した精算をするには「商品マスター」の新規登録が必要になるが、こうした処理についても、メーカーや業者に依頼して発生した費用は、新たに補助の対象に加えられた。

   これまでレジを使ったことがなく、この機会に導入を考えている場合について前田さんは「お近くの商工会に相談を」と勧めた。

   中小企業庁の笹路上級調整官は、「レジ入れ替えあるいは更新で業務の効率化や生産性の向上が可能。中小商店の方々には、経営力アップのきっかけにしてほしい」と強調。中小機構によると、19年5月まで1年間の補助金申請件数は10万7142件。全国でレジ対応が必要とみられる業者は30万ほどとされ、準備にまだ手がついていない経営者は多数いるとみられる。

キャッシュレス化をバネに

   一方、小売りやサービス関連の団体では、東京五輪・パラリンピックが当面のピークとみられるインバウンド消費の拡大や、経営効率化を目指してキャッシュレス化を推進中。消費増税・軽減税率実施に伴うレジの新規導入、更新は、そのための好機でもあり、東京のフェア会場には46社が出展した。

あいさつする世耕経産相
あいさつする世耕経産相

   各社とも複数税率に対応したレジやキャッシュレス決済端末などを展示し、実際に使って飲料などを模擬購入できるコーナーも設けられた。なかには、ECサイトだけでビジネスを行っていて、初めてこうした見本市的な会場に出展したレジ・システムの企業も。主催者側では、そうした出展を指して「企業の顔ぶれでは、日本初のフェア」としている。

   世耕経産相は4日の総決起集会であいさつに立ち「キャッシュレスを事業者に体験してもらって、軽減税率に向けた準備の行動につなげてほしい」と、対応を促していた。

   フェアは東京のあと、広島(10日)、大阪(13日)、福岡(17日)、高松(19日)、札幌(21日)、名古屋(25日)、仙台(27日)の各地で開催が予定されている。

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