サイバー戦争強国「7姉妹」に北朝鮮の名が! 核開発の動きは止まっているようだが......(気になるビジネス本)

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自国には攻撃されるインフラなし

   金正恩労働党委員長が権力の座に就いたときには、一二一局は10年以上の経験を積みすっかり戦力に。金委員長は2012年までに、ハッカー部隊をインターネット・インフラがある国外に分散させサイバー戦を本格化させる。北朝鮮国内でもインターネットは使えるようだが、同国ドメインのサイトは数えるほどしかなく、攻撃を仕掛ける場所としてはふさわしくない。

   北朝鮮のハッカーたちは国外に出て、たとえばニュージーランドなどのネットワークに訪問先の国からアクセスし、そこから攻撃を仕掛けていた。滞在している国から攻撃する場合もあり、とくにインドは北朝鮮によるハッキングの5分の1近くの発信源になっているという。

   北朝鮮が大規模に攻撃を行った例は2014年、金委員長をモデルにしたコメディー映画を「耐え難い冒涜」として配給の映画会社に仕掛けたものがある。本書ではその模様も詳しく報告されているが、企業で起きる可能性があるサイバー有事に備える参考になるかもしれない。

   北朝鮮は核開発では動きを止めているようだが、サイバー攻撃は続けているらしい。それは、サイバー兵器で反撃されてもマヒするインフラがなく、攻撃の主であることがわからなければ、制裁の対象にもならないから。

   トランプ氏はどうやら、大統領就任後に「熾烈なサイバー紛争の動向」を理解し、北朝鮮との直接交渉や、ファーウェイの完全排除に踏み切ったようだ。

「世界の覇権が一気に変わる サイバー完全兵器」
デービッド・サンガー 著、高取芳彦訳
朝日新聞出版
税別2300円

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