「起業」「スタートアップ」というと、どのような企業を思い浮かべるだろうか――。
国内最大級のスタートアップコミュニティを運営するCreww(東京都目黒区)が実施した「上場企業から見たスタートアップ企業に関する意識調査」によると、イメージするスタートアップ企業の分野は「AI」だった。
スタートアップ企業、会社役職者の認知度は48%
Crewwによると、調査は存在感が増してきたスタートアップ企業(独自の技術やビジネスモデルを有し、主に起業してから10年以内の少人数による新興企業とした)を、大手企業がどのように見ているのか、なにを期待しているのかを明らかにすることで、国内企業の意識と役割のリアルな実態を探ることを目的とした。
従業員規模1000人以上の上場企業の役職者(会社経営者、役員、部長、次長、課長)で、オフィスで働く20歳~59歳までの1360人の、スタートアップ企業の認知度は48.2%と約半数。そのうちの200人に対して聞いた。
200人のうち、41.5%がスタートアップ企業と取引や協業の「経験がある」と回答。スタートアップ企業に「知り合いがいる」人は24.5%だった。上場企業にとって、スタートアップ企業が身近な存在になりつつあることがうかがえる。
スタートアップ企業のイメージは、技術革新を起こし、少数精鋭で決断が早いというポジティブなイメージがある一方、企業の信用力や財務基盤が弱く、社員一人当たりの負担が大きいというネガティブなイメージもある。
実際に取引経験がある人のスタートアップ企業の印象は、「仕事が速い」、「小回りが利く」、「発想が豊か」。技術革新の背景に、柔軟な「発想力」があるとみている。
「フィンテック」QRコード決済で注目
一方、イメージするスタートアップ企業の分野は「AI(人工知能)」が最も多く68.0%。次いで、「フィンテック」の62.0%、「IoT(モノのインターネット)」の61.0%と続く=下表参照。
スタートアップ企業と取引経験があると答えた人(66人)は、「フィンテック」が第1位(71.2%)で、「AI」が第2位(66.7%)と逆転する結果となった。
金融サービスと情報技術を結びつける「フィンテック」はここ数年、「QRコード決済」が話題となっており、実用化が急進展している。
そんなスタートアップ企業に「転職してみたいと思う」と回答した人は24.5%で、4人に1人が転職してみたいと答えた。なかでも、スタートアップ企業と取引経験がある人が45.5%と高い数値となっている。
「転職してみたい」と答えた人は、「自分の可能性を試してみたい」、「能力次第で評価されるから」などの理由をあげていた。
なお調査は、2019年3月15日~29日に実施した。