上場企業2591社の2018年の平均年間給与は7年連続で上昇し、初の600万円を突破した。東京商工リサーチが2019年5月27日に発表した。
業種別でみると、建設業が4年連続でトップを守り、唯一700万円台に乗せた。
増加した企業は6割超の1614社
調査によると、2018年の上場企業2591社の平均年間給与は606万2000円(中央値593万5000円)で、2017年の599万2000円より7万円増えた。伸び率は1.1%増。2年ぶりに1%台となった。7年連続の増加で、8年間で42万5000円も上昇した。
2591社のうち、平均年間給与が前年より増えた企業は1614社(前年は1563社)で、全体の62.2%を占めた。反対に、平均年間給与が減少した企業は965社(構成比37.2%、1009社)、横バイは12社(0.4%、19社)だった。
業種別でみると、最も高いのが建設業の718万7000円(前年707万3000円)。2015年(671万2000円)から4年連続でトップを守り、唯一700万円台に乗せた。次いで、不動産業の696万4000円(前年675万4000円)、電気、ガス業の672万5000円(673万4000円)と続く。
トップの建設業は、活発な建設ラッシュによる業績改善だけでなく、人材確保のための賃金アップの影響もあるようだ。
最も低かったのは、小売業の473万8000円(前年471万4000円)で、唯一400万円台にとどまった。トップの建設業との差は244万9000円で、1.5倍の格差がある。
ただ、小売業は6年連続、サービス業も8年連続で、前年を上回っており、ゆっくりではあるが待遇改善は進んでいるようだ。
また増減率では、10業種のうち、金融・保険業(前年比0.19%減)、水産・農林・鉱業(0.14%減)、電気・ガス(0.12%減)を除く7業種が、前年を上回った。伸び率が最も高かったのが不動産業(前年比3.1%増)で、都市部を中心に活発な取引が業績に反映されたとみられる。
その一方で、減少率がもっとも大きかった金融・保険業は、2年連続で前年を下回っている。マイナス金利による低金利競争が続き、金融機関の収益環境の深刻さが増している。