プレスリリース作法の基本はパロディー化にあり
ここで長谷川さんが直近の事例を紹介した。あるクライアントのプレスリリースをパロディー化してみた実例だ。24時間営業のフィットネスジムが、フランチャイズ展開を強化するため、オーナー募集の説明会を開催する。メディアにその取材を呼びかけるリリースを定期的に配信してきたが、これまでこんな感じのタイトルだった。
「24時間フィットネスジム○○ フランチャイズ加盟オーナー説明会が大反響! オーナー追加募集につき、××月に大規模説明会を開催」
「これを見たメディアの反応は、『は~、これが何か?』という冷たいものだと思います。これをテレビ好みにパロディー化してみましょう」
そう言うと、長谷川さんは大胆にパロディー化してみせた。
『コンビニオーナーを救うフランチャイズ乗り換え説明会 24時間でも深夜は無人営業だから人手不足問題も解決!』
いま社会問題になっている「コンビニ24時間営業」と「人手不足」のワードが含まれ、いかにも取材の意義がありそうにみえる。また携帯電話会社でおなじみの「乗り換え」というポップなワードも挿入されているから、「おおっ!」と引き付けること請け合いだ。
もう一つリリースで大事なツボは、「メディアはランキングや○○大賞が大好物」ということだ。たとえば、「理想の上司ランキング」というテッパン企画がある。去年のランキング1位は、内村光良、2位ムロツヨシ、3位に博多大吉......といった内容だ。これを自分の業界に関連するワードに変えてみる。ウェディング業界なら「理想の夫・妻」、教育関連業界なら「理想の先生」、人材サービス業界なら「パワハラされそうな上司」、介護福祉業界なら「理想の娘・嫁・息子」といった具合だ。
しかも、そのランキング1位に、仮にあの番組のMCがなったとしたらどうだろう。たとえば、「理想の夫ランキング」1位にフジテレビ・ワイドナショーのMCであるダウンタウンの松本人志さんが輝いたとしたら......。
「私がもしその番組の総合演出なら、取り上げざるを得ませんね」