ひみつのノート
秋田県の子どもたちが高い学力を発揮する背景には、学校で授業に工夫が凝らされていることのほか「家庭学習ノート」の存在がある。県内の多くの小学校、中学校で採用されており、学校によって「ひとり勉強ノート」「自由学習ノート」など、さまざまに呼ばれている。子どもたちは毎日、自分で学習内容を決めるよう促されており、計算問題、漢字練習、都道府県の特徴調べなど、それぞれのやり方で取り組むことが学習習慣として定着している。それに使うのが、このノートだ。
東成瀬村でもノートを使っており、同村で「自主学習ノート(自学ノート)」と呼ばれる。他の市町村以上にその活用を徹底化しているという。主婦の友社では3年前に『最新版 秋田県式家庭学習ノート』を刊行。その存在をクローズアップしたものだが、後の取材で、東成瀬村に注目すると、この自学ノートと、授業の復習に役立つ作りになっている「授業ノート」の重要性が浮かび上がってきたという。そこで、同書の続編として今回の出版となったものだ。
「民営の塾がない東成瀬村の子どもたちの高い学力を育んでいるのは、自学ノートと授業ノートなのではないか? 『秋田県式家庭学習ノート』の進化形ともいえる、東成瀬式学習ノートのノウハウを知りたい」と、取材班は同村に乗り込んだ。グラビアを使ってビジュアルでも紹介されているノートの中身は、小学生、中学生のものとは思えぬほどわかりやすい記録になっている。どういうノートかご興味があれば本書でご確認を。
ノートだけではない。子どもたちに読書の時間や新聞と接する時間を豊富に設け、子どもたちは同じテーマを扱う記事を全国紙と地元紙で読み比べなどもする。また、授業で全員が発言機会を持てるようにと、内容がわからないときには「こまった」と意思表示できるように、など挙手の際のハンドサインをいくつも考案、塾なしを補ってあまりあるような創意工夫がいたるところにみられる。