加害者の恩赦に被害者の気持ちは......
一方、国民から選ばれた裁判員が刑事裁判に関わる「裁判員制度」が始まって10年になる。判決までの過程で市民感覚が裁判に入り、犯罪の被害者の立場が重視されてきた。政府も犯罪被害者保護法を成立させ、被害者の救済に力を入れてきた。
それらを差し置いて、被害者の気持ちとは関係なく、加害者が恩赦を受けることは、被害者には割り切れないものが残るだろう。
また、これまでの恩赦では、公職選挙法の違反者の公民権を大量に復権させてきた。これは、政治家が自分たちの「支援者」を救うことにほかならない。
恩赦がすべて論外というわけではない。先に書いた「常時恩赦」があるのに、皇室の慶弔事にかこつけておこなう恩赦には、合理的な理由が見いだせないのである。令和への代替わりを機に、きっぱりと決別すべきではないだろうか。(岩城元)