「参院選後」になったことで、逆に恩を売られたかも
しかし、「参院選後」になったことで、逆に恩を売られた形になり、日本は苦しい立場に追い込まれた、と指摘するのは朝日新聞だ。
「トランプ氏は『8月に両国にとって素晴らしいことが発表される』『多く(の成果)は7月の選挙後にまで待つ』とツイートした。政府には(8月合意で一致したわけではないのに)時期を明記されたことに困惑が広がる。トランプ氏が早期妥結を求めるのは、TPPの離脱で米国産牛肉が日本市場で不利な扱いになり、農業界に不満がたまっているためだ。
不利な状況下でも強気を通して脅すのは『トランプ交渉術』の常とう手段。ある経済官庁幹部は、『6月下旬に大阪であるG20首脳会議にある日米首脳会談について、3か月連続で日米蜜月を示す場の予定が、逆にトランプ氏が圧力を強める場に変わりかねない』と危惧する。
日本側に自動車への追加関税や輸出数量規制をちらつかせて譲歩を迫る可能性も残る。日本側が持つ『農業カード』がトランプ氏の暴走を抑えてきたのに、『参院選後』という恩を売られた首相が、参院選後に安易な妥協をすれば、批判は避けられない」
というわけだ。
毎日新聞も「押し込む米、かわす日本」と、今後のトランプ氏の激しい攻勢を警戒する。
「トランプ氏はTPPを考慮しないと言い放った。この後、西村康稔官房副長官は、『(TPPに基づくと書かれた)共同声明の内容を大前提に議論する』と述べるのが精いっぱいだった。共同会見では、首相が『前回の首脳会談から1か月で対米投資は10億ドルも増加した』と日本側の貢献をアピール。しかし、米メディアが首相に自動車の追加関税について質問すると、トランプ氏は『私もその答えを聞きたい』と口を挟んで、けん制した」
と、「おもてなし」への感謝などどこへやら、早くも敵意をむき出しにしたトランプ氏の姿勢を懸念する。