食品ロス削減推進法成立、残るハードルはまだまだたくさんありそう(気になるビジネス本)

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カウントされない田畑で廃棄の野菜、未利用魚

   農林水産省によると、2016年度に国内で廃棄された食品は約2759万トン。このうち、まだ食べられたもの約643万トンが含まれていた。本書によると日本では、需給調整として田畑で廃棄された農作物や、水揚げされても流通しない「未利用魚」が食品ロスにはカウントされていないという。農作物については量が把握されていないが、未利用魚は水揚げ全体の3割を占めるとされる。

   英仏など欧州各国では、出荷されなかった農産品などを調査したうえ、あるいは推計値として、その量を示し廃棄削減策を講じているという。著者らが農水省にただしたところ、同省からは「田畑の生産調整は、農業政策において生産性という観点で考えるべきだと考えている」との答えが寄せられた。

   法律ができたこれからは、行政の丁寧な取り組みが期待されている。

   著者の仲村和代さん、藤田さつきさんはともに朝日新聞記者。両記者は、朝日新聞が、NHK「クローズアップ現代」で長くキャスターを務めた国谷裕子さんと共同で立ち上げた「持続可能な開発目標」をめぐる企画に参加、食品ロスや服の大量廃棄を取材した。本書で国谷さんは解説を担当している。

「大量廃棄社会 アパレルとコンビニの不都合な真実」
仲村和代、藤田さつき著
光文社
税別880円

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