米中対立だけでない火ダネ
要は米中の和解はなく、両者はぶつからざるを得ない。必然的に金融市場も不安定化するはずだ。
特に中国側は、トランプ氏再選は何としても避けたいだろう。そうなると、もしかしたら中国は金融市場を揺さぶることで、米国を揺さぶってくることになる。米国債を大量に売るかもしれない、というシナリオは過去に何度も言われた。
個人的にはその可能性は低いと考えているが、習近平氏が命令すればそうするだろう。手っ取り早いのは、地政学的いざこざを敢えて作り出すことだ。そうなると、株価は落ちる。
政治的混乱が金融市場を混乱化させる可能性が非常に高い。
この米中対立のみならず、2019年10月にはブレクジットの最終期限が待っている。メイ首相は彼女の稚拙な戦略もあり、ブレクジットを実現することができなかった。これが英国民の怒りを買っている。メイ首相が退陣し、ボリス・ジョンソン氏が新しい首相になる可能性が高まっている。そうなると、ソフトなブレクジットではなく、ハードブレクジットとなる可能性がかなり高くなるだろう。
欧州のほうも、ドラギ総裁の任期がこの秋に終わる。ユンケル委員長も退陣する。新しいリーダーのもとで欧州は再出発するが、リーダーの交代そのものがリスクであることも多い。
米中対立が続けば、中国経済は減速する。そうなると最も影響を被るのは欧州経済だ。新しいリーダーが上手く状況をコントロールすることができるのか、試されることになる。
米中対立、ブレクジット、欧州リーダーの交代。これらが年後半に集中する。市場変動率の上昇は避けられないと見たい。(志摩力男)