見えてきた! 2019年後半の相場変動 米中貿易戦争は「新たな長征」習近平の本気度を読む(志摩力男)

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米中対立だけでない火ダネ

   要は米中の和解はなく、両者はぶつからざるを得ない。必然的に金融市場も不安定化するはずだ。

   特に中国側は、トランプ氏再選は何としても避けたいだろう。そうなると、もしかしたら中国は金融市場を揺さぶることで、米国を揺さぶってくることになる。米国債を大量に売るかもしれない、というシナリオは過去に何度も言われた。

   個人的にはその可能性は低いと考えているが、習近平氏が命令すればそうするだろう。手っ取り早いのは、地政学的いざこざを敢えて作り出すことだ。そうなると、株価は落ちる。

   政治的混乱が金融市場を混乱化させる可能性が非常に高い。

   この米中対立のみならず、2019年10月にはブレクジットの最終期限が待っている。メイ首相は彼女の稚拙な戦略もあり、ブレクジットを実現することができなかった。これが英国民の怒りを買っている。メイ首相が退陣し、ボリス・ジョンソン氏が新しい首相になる可能性が高まっている。そうなると、ソフトなブレクジットではなく、ハードブレクジットとなる可能性がかなり高くなるだろう。

   欧州のほうも、ドラギ総裁の任期がこの秋に終わる。ユンケル委員長も退陣する。新しいリーダーのもとで欧州は再出発するが、リーダーの交代そのものがリスクであることも多い。

   米中対立が続けば、中国経済は減速する。そうなると最も影響を被るのは欧州経済だ。新しいリーダーが上手く状況をコントロールすることができるのか、試されることになる。

   米中対立、ブレクジット、欧州リーダーの交代。これらが年後半に集中する。市場変動率の上昇は避けられないと見たい。(志摩力男)

志摩力男(しま・りきお)
トレーダー
慶応大学経済学部卒。ゴールドマン・サックス、ドイツ証券など大手金融機関でプロップトレーダー、その後香港でマクロヘッジファンドマネジャー。独立後も、世界各地の有力トレーダーと交流し、現役トレーダーとして活躍中。
最近はトレーディング以外にも、メルマガやセミナー、講演会などで個人投資家をサポートする活動を開始。週刊東洋経済やマネーポストなど、ビジネス・マネー関連メディアにも寄稿する。
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