自分から動かない「指示待ち社員」に悩む先輩の投稿が話題に 対処法を専門家に聞いた

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   入社して2年目なのに、わからないことがあっても自分から聞いてこなくて「指示待ち」の後輩。いったいどう指導したらよいのか悩む先輩の投稿がネットで話題になっている。

   J-CASTニュース会社ウォッチ編集部では、ビジネスマナーの専門家に、どうしたら「指示待ち社員」を自分から動いて仕事をするようにできるか聞いた。

  • 「指示待ち」の後輩の話を聞いてあげよう(写真はイメージ)
    「指示待ち」の後輩の話を聞いてあげよう(写真はイメージ)
  • 「指示待ち」の後輩の話を聞いてあげよう(写真はイメージ)

「私の顔を見ながら、ボ~っと突っ立っているだけ」

   話題になっているのは、女性向けサイト「ガールズちゃんねる」(2019年4月30日付)に載った女性の次の投稿だ。

「新卒4年目です。新卒2年目の後輩がわからないことがあっても自分から何も聞いてきません。私は先輩や上司にどんどん聞く性格なので、なんで何も聞いてこないの、とイライラしています。こういう後輩にはどういう声のかけ方をすればいいのでしょうか。正直仕事ができる人ではないので、上司も気をもんでいてどうにかしたい状況です」

   そして、「自分から何も聞いてこない後輩の育成」というスレッドが立ち、回答を募ったのだった。この投稿に対して、

「経営者ですが、そういう方は即クビにします。そんな人に給料払うほど甘くないです」
「今の子ってわからないとそのまま。教えて違っているとわかると、『あ~あ!』みたいな感じ。『すみませんでした』も『ありがとうございました』もない。コレで給料もらえるんだから、いいご身分だ」
「わからない事があったら何でも聞いてね、いつでもいいからって、ゆとり世代さんに、もう100回以上言ってきました。でも、わからない事があっても私が声かけるまで、私の顔を見ながら、ボ~っと突っ立っているだけ。彼女、それでも4大卒らしいですが」

と、突き放す声が多い。

「聞きに来いっていう人に限って聞きづらい雰囲気バリバリ」

   一方で、投稿者が先輩として聞きづらい雰囲気を出していないか、疑問視する意見も目立った。

「急いで何とかしようって詰め込んでない? 教える時の口調が気づかないうちキツクなり、なぜそんな事もわからないの、みたいな言い方してない? メンタル弱いタイプだと、怒られたらどうしようって萎縮して聞けなくなっていることもあるよ」
「聞きに来いっていう人に限って聞きづらい雰囲気バリバリだしているんだよね。逆に聞きやすい人って聞かずとも的確な指示してくれるもん」

   そして、次のように具体的にアドバイスする声が多かった。

「待っていても来ないなら、こちらからアプローチするしかない。全部教えるというよりは、こうなったらどうしたらよいと思う?とか、この仕方は覚えている?とか聞いてみるかな」
「手取り足取り教えるしかないよ。そのうち慣れるのを待つしかない。それにしても2年は長いね」
「うちにも似たタイプの3年目がいる。周囲から聞きだした情報だと、1年目の時に上司から『口開くヒマがあるなら言われた仕事をやれ!』とパワハラめいた指導を受けていた。それが原因で胃を痛め、今でも消化器内科に通院している。なので、まずは『先輩も上司も怖くないし、肩の力抜いてね』を第一にしているよ。向こうが、ここの先輩は怖くないし、わからなかったら聞いていいんだ、軽口もいいんだって思ってくれるのが、まずは大事かなと」
「納期に間に合わなそう、とか明らかに遅い、効率が悪いという様子が見られたら声をかけてあげたらいいのでは。年が近かったら、自分が2年目のときにつまずいたことを話してあげるとか......」

「指示待ち社員」にも三つのタイプがある

   こうした「指示待ち人間」をどうしたら自分から動くようにできるだろうか。J-CASTニュース会社ウォッチでも連載コラムを持ち、ビジネスマナーとコミュニケーションに詳しい篠原あかねさん(スマートコミュニケーションズ代表)に聞いた。

   ――社員研修で多くの企業を回られていますが、「指示待ち人間」は増えているのでしょうか。

篠原あかねさん「けっこう多いです。人事担当者のお悩み第1位と言っていいでしょう。言われたことはやるけれど、自分から動こうとしない人たちですが、三つのタイプにわかれます。
   私の命名ですが、一つ目が『キャリアプラン欠如型』。自分の将来像が見えない。ロールモデルになる先輩がいない。上司も、なぜこんな人間が上にいるのかわからない。社内の飲み会でも、会社の愚痴や他人の悪口ばかり言っている。こんな情けない人間になるのかと思うとイヤになるというわけです。
   また、会社が社員をどう評価しているのか、基準が明らかになっていない。だったら、言われたことだけやっていればいいや、よけいなことをすると損しちゃうから自分からはやらない、というタイプです」

   ――会社や先輩、上司に対して非常に冷めた目で見ているわけですね。

篠原さん「そうです。しかし、二つ目の『リスク回避型』は、逆に、もともとやる気があるタイプです。ところが、何かでミスをした時に上司から『勝手なことをするな。俺の言うとおりにしていればいい!』と叱られた。いわばパワハラの経験者ですね。今の若い人は、子どもの時から厳しい言葉で注意されることに慣れていません。叱られるのが怖いから自分から動こうとしなくなり、言われたことだけやればいいや、とリスクを避けるようになったタイプです」

   ――三つ目はどんなタイプですか。

篠原さん「もともと自分自身に対して自信がまったくない。叱られるのが怖いから、首をすくめて絶対に自分から動こうとしない『カメさん型』タイプです。言葉はよくないですが、無能な人で、採用した会社のほうが悪いです。売り手市場なので、こういう人でも採用する中小企業が多いのです」

「カメさん型」には学校の先生のように寄り添う

   ――それぞれのタイプにどう対応したらよいのでしょうか。

篠原さん「『キャリアプラン欠如型』には、仕事の背景をきちんと説明してあげることです。こういうバックボーンがあり、成果をあげればこう評価され、自分の成長にこうつながると、ちゃんと目に見えるように具体的に説明します。自分の将来の全体像が想像できるようにするのです。そして、成果をあげれば、そのつどほめてあげることです」

   ――今の若い人にはほめることが大事ですね。

篠原さん「はい。『リスク回避型』もやる気はあるのですから、行動するたびに『すごくよかったよ!』と大げさにほめて下さい。ただ、このタイプはミスをしがちですから、『最後はもう一度、必ず俺に確認してよ』『ちょっとおかしいと思ったら、俺に相談してくれよ』と、たえず声がけをして、ミスをしないよう見守ることが大切です。
   そして、叱るのは失敗した部分だけにとどめて、『やる気があるのはいいことだよ』と、どんどん背中を押してあげるのです」

   ――なるほど。しかし、「カメさん型」は対応が難しそうですね。

篠原さん「もう、学校の先生のように、付き添って一緒にやるしかないです。数回やっては様子を見て、また数回やる、の繰り返しです。今の若い人は学校教育の段階から甘やかされ、受け身の姿勢に慣れています。家庭でも自分から進んで食器を片づけようとしない。出しっぱなしにしても叱られない。たまに片づけると『偉いねえ』とほめられる。ただし、付き添ってあげても、『最後は自分一人でやってね』とクギを刺すことを忘れずに」

若者は上司に質問するのはマナー違反だと考えている

   ――手取り足取り面倒をみるわけですか。ところで、回答の中には、今の若い人が「指示待ち」になり、自分から先輩や上司に聞こうとしないのは、聞くことが相手に対して失礼になると考えているからだという意見もありました。

篠原さん「それはあります。上司が喋っている時に質問したり、自分の意見を述べたりするのは、『あなたの話は訳がわからない』と批判しているのと同じで、マナー違反だと考える傾向があります。だから疑問点があっても、とりあえず『ハイ』と受けとめておく。また、いつも上司や先輩が忙しそうにしているので、聞くタイミングがわからないという面もあります」

   ――ところで、投稿者の悩みの相手は、新人ではなく、入社2年目です。2年目でも「指示待ち」というのはどういうケースが考えられますか。

篠原さん「まず、考えられるのは『キャリアプラン欠如型』でしょうね。1年間やったけど、入社の時のイメージと違い、上司も先輩もたいしたことがなかった、こんな会社ではやっていけない、と転職を考えているのかもしれません。
   もう一つの可能性は『リスク回避型』です。一生懸命やったのに、1年目に『黙って俺の言うことを聞いていればいい!』とガツンと言われたのでしょう。恵まれない上司や先輩に当たってしまったのかもしれません」

   ――先輩としてどう対応すればいいでしょうか。

篠原さん「後輩の話をよく聞いてあげて、どうして『指示待ち』になったのか、まずつかむことが大切です」

(福田和郎)

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