「カメさん型」には学校の先生のように寄り添う
――それぞれのタイプにどう対応したらよいのでしょうか。
篠原さん「『キャリアプラン欠如型』には、仕事の背景をきちんと説明してあげることです。こういうバックボーンがあり、成果をあげればこう評価され、自分の成長にこうつながると、ちゃんと目に見えるように具体的に説明します。自分の将来の全体像が想像できるようにするのです。そして、成果をあげれば、そのつどほめてあげることです」
――今の若い人にはほめることが大事ですね。
篠原さん「はい。『リスク回避型』もやる気はあるのですから、行動するたびに『すごくよかったよ!』と大げさにほめて下さい。ただ、このタイプはミスをしがちですから、『最後はもう一度、必ず俺に確認してよ』『ちょっとおかしいと思ったら、俺に相談してくれよ』と、たえず声がけをして、ミスをしないよう見守ることが大切です。
そして、叱るのは失敗した部分だけにとどめて、『やる気があるのはいいことだよ』と、どんどん背中を押してあげるのです」
――なるほど。しかし、「カメさん型」は対応が難しそうですね。
篠原さん「もう、学校の先生のように、付き添って一緒にやるしかないです。数回やっては様子を見て、また数回やる、の繰り返しです。今の若い人は学校教育の段階から甘やかされ、受け身の姿勢に慣れています。家庭でも自分から進んで食器を片づけようとしない。出しっぱなしにしても叱られない。たまに片づけると『偉いねえ』とほめられる。ただし、付き添ってあげても、『最後は自分一人でやってね』とクギを刺すことを忘れずに」
若者は上司に質問するのはマナー違反だと考えている
――手取り足取り面倒をみるわけですか。ところで、回答の中には、今の若い人が「指示待ち」になり、自分から先輩や上司に聞こうとしないのは、聞くことが相手に対して失礼になると考えているからだという意見もありました。
篠原さん「それはあります。上司が喋っている時に質問したり、自分の意見を述べたりするのは、『あなたの話は訳がわからない』と批判しているのと同じで、マナー違反だと考える傾向があります。だから疑問点があっても、とりあえず『ハイ』と受けとめておく。また、いつも上司や先輩が忙しそうにしているので、聞くタイミングがわからないという面もあります」
――ところで、投稿者の悩みの相手は、新人ではなく、入社2年目です。2年目でも「指示待ち」というのはどういうケースが考えられますか。
篠原さん「まず、考えられるのは『キャリアプラン欠如型』でしょうね。1年間やったけど、入社の時のイメージと違い、上司も先輩もたいしたことがなかった、こんな会社ではやっていけない、と転職を考えているのかもしれません。
もう一つの可能性は『リスク回避型』です。一生懸命やったのに、1年目に『黙って俺の言うことを聞いていればいい!』とガツンと言われたのでしょう。恵まれない上司や先輩に当たってしまったのかもしれません」
――先輩としてどう対応すればいいでしょうか。
篠原さん「後輩の話をよく聞いてあげて、どうして『指示待ち』になったのか、まずつかむことが大切です」
(福田和郎)