「性的指向」や「支持政党」「宗教」を聞かれる例も
なかには、明らかにプライバシーや思想信条に関する質問もあった。「尊敬する人物」(18.9%)、「性自認への違和感の有無」(3.3%)、「性的指向の確認」(3.1%)、「支持政党」(2.9%)、「宗教」(2.7%)などだ。
面接では、適性や能力に直接関係ないような質問に留意すべきとされているが、認識していない事業者が非常に多いことがわかる。
では、実際に面接で、不適切だと思う質問や発言をされたことがある人は、どれくらいいるのか。「ある」と回答した人は14.5%。その具体的な内容を列挙してみると――。
「『女性だから出産や育児で抜けるのだろう』と言われた。私は子どもを産むつもりはないので、女性の生き方を一律に決めつける態度に辟易した」(20歳女性)
「『恋人はいる? どれくらい恋人がいない?』など、プライベートに踏み込んだ質問をされた」(29歳男性)
「家族の職業を聞かれ、『まったく違う業種なのに、あなたはなぜうちを受けたのか』と言われた」(25歳女性)
「『身長低いな』と言われた」(23歳男性)
「『太ってるね』と言われた」(21歳女性)
今回の調査結果を分析したジャーナリストの竹信三恵子・和光大学名誉教授(労働社会学・ジェンダー専門)は、こうコメントしている。
「調査で目立つのは、仕事の遂行力に無関係な質問の多さです。『本籍地や出生地』『家族構成』のほか、『恋人の有無』『思想信条』『性的指向』についてまで聞かれていますが、仕事に無関係の偏向が採用に忍び込むリスクを高めています。このような仕事の遂行力以外の情報に関する緊張感の薄さが、『恋人いる?』『太ってるね』といったセクハラ質問の土壌になっています。企業側は、激変する社会に対応できる多様性を目指すなら、出身地や性別など仕事の遂行力に関係のない判定によって排除しない選考方法に切り替えることが不可欠です」
と、かなり手厳しい。
なお調査は、最近3年以内に新卒・中途採用試験を受けた全国の18歳~29歳の男女1000人を対象に、2019年4月5日~19日の期間、インターネットで実施した。