先行き不透明な「令和」 若者は平成時代から「終身雇用」をアテにしてない(気になるビジネス本)

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「シリアルアントレプレナー」の時代

   著者の小杉俊哉さんは、1958年生まれの慶應義塾大学大学院理工学研究科特任教授。早稲田大学法学部卒業後にはNECに勤務し、その後、米マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院修了、マッキンゼー・アンド・カンパニーインクを経て、ユニデン、アップルコンピュータでそれぞれ人事総務部長、人事総務本部長を務めた。その後は、教壇に立つほか複数社で社外取締役も務めている。

   「私は四つの会社を経験して独立した。さまざまな企業での経験があったからこそ、今独立してやっていけるのだといえる。だからといって、転職したほうがいいよ、というように勧めるつもりはない。一つの会社で、ハッピーに生涯過ごせるのであれば、それも素晴らしいことだ」と小杉さん。だが、現実には大学を卒業して就職した人のうちの3割近くが3年以内で辞めていき、また中には最初から3年間と決めて就職する新入社員もいるという。

   キャンパスで学生と過ごす小杉さんは、人事部門の管理職を務めた経験からも、大学生の就活や企業動向には関心が高い。その目でみた就活状況によると、この数年は、特に意欲が高く優秀な人材の行動が大きく変化しているという。

   前著「起業家のように企業で働く」を上梓した6年前は、就職人気ランキングで上位を占める金融・保険を中心とする、いわば一流企業に就職することが「王道」だったそうだが、それがいまでは傾向が大きく変わってきているという。

   かつてはメガバンクがさらっていった「高い意欲の優秀な人材」の志望は、戦略コンサルティング会社や外資系企業にシフト。彼らの眼中には「終身雇用」などはなく、新卒でそれらの会社で起業などを学び、そして自ら起業し、それを売却、そして次の起業にかかる「シリアルアントレプレナー」だという。

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