いまやアラフォー世代の「所帯持ち」の8割が、生命保険に入っている時代。ただ、その中には入っていることを忘れてしまっている人がいることは、前回「生命保険、入りっぱなしになってない? 新年度にチェックすること」(J-CAST会社ウォッチ2019年4月16日付)でもわかった。また、2割の「加入していない人」は、なぜ入っていないのだろうか――。
生命保険に加入しない理由、見直さない理由を、同じアラフォー女子に聞いてみると、そこには保険加入の「あるある」があった。
リア充女子の結論「銀行預金よりマシ」
ここ10年ほど、仲良くしているアラフォー女子がいる。仕事の関係ではなく、プライベートで遊ぶ仲間だ。ちなみに、超一流国立大学出身、超一流日系企業社員で独身。ついでに言えば、六本木駅から徒歩圏内の賃貸マンション住まい、リア充と、じつにまぶしい「キラキラ女子」だ。
彼女に、LINEで聞いてみた。
「生命保険? 入ってないなぁ。毎月かけるのがバカらしいと思って。当面、病気になる気がしないし。
でも、積立貯金だと思って、終身保険は買っている。20代後半に始めたかな。終身保険だから自分が死んだときにしかもらえないけど、一定の年数を払込みしていれば、払込金額よりたくさんもらえるようだし、解約すれば解約返戻金が出るから、保険というより貯金替わりかな。銀行に預けておいても増えないのだから、保険のほうがオトクよね。積み立てる金額は、毎月『もともとないお金』として考えてるよ」
将来のためにコツコツとお金を貯めている人は少なくない。その貯める「場所」が、「タンス預金」か、銀行か、証券会社か、違うだけで、選択肢の一つとして彼女は「生命保険」を選んだ。その理由は、加入した終身保険が銀行より利率がよかったためで、「積立貯金」として、ちょうどいいと考えていたようだ。
終身保険、生前に解約すれば老後資金に使える
彼女の中では、終身保険が「生命保険」であるという認識がないらしい。終身保険とは、生命保険のなかの死亡保険の一種で、一生涯にわたり死亡保障が続く保険である。
ただし、現在独身の彼女の場合、必要に応じて生前に解約し、解約返戻金として一時金で受け取り、それを老後の生活費などに充てることを見越しているようなのだ。そのため、「保険というより、銀行より利率のいい積立貯金」という認識であるという点を、目的としたようだ。
死亡保障が不要になった場合には、保険契約を解約して、解約払戻金を教育資金や老後の生活資金などに使えるものなど、終身保険といえども、保障のありかたはいろいろある。
彼女のようなライフスタイルの場合、老後の生活資金として保険を利用するという考え方もありかもしれない。
ただ、気を付けなければならないのは、この彼女がこの保険を購入したのは15年くらい前であること。今のような超低金利時代にこのタイプの購入した場合は、当時ほどの「オトク感」は得られない可能性は高い。
そうなると、加入している保険商品の見直しが必要になるが、当時勤務していた会社や知り合いを通じた紹介が加入のきっかけだと、その人との関係がなくなることで、保険の見直し相談のきっかけを失ってしまうリスクもある。
「友人の旦那さんが保険屋さんだったから、オススメされて入ったのよね。その後、その夫婦は離婚しちゃったけど。最近は、株式とか投資信託とか、なんか投資したいんだけど、相談できる人がいない。誰に相談したらいいのかわからない。よく知らない人に相談するといろいろ売りつけられそうだし、何より面倒ね」
よく知らない人への相談は「いろいろ売りつけられて面倒」
彼女が生命保険に加入したきっかけは、「信頼できる知人が保険会社の人だった」。J. D. Powerが2019年3月に発表した「生命保険顧客満足度調査」によれば、生命保険加入のきっかけの第1位は、まさに「保険会社の営業担当者の訪問・勧め」であった。
もう一つ、興味深いデータを紹介しよう。J. D. Powerのデータでも、生命保険の見直しのきっかけは、契約後の経過年数によって大きく異なることがわかっている。
つまり、契約からの年数が経つにつれ、見直しのきっかけは、保険料の負担増、満期・更新、病気・事故による手続きの経験と、「保険と向き合わざるを得ないとき」に限られがちになっているということだ。
生命保険を見直すきっかけはこんなこと
逆に、契約からの年数が経つにつれ、営業担当者やファイナンシャルプランナー、会計士、税理士など、いわゆる 「プロによるアドバイス」をきっかけに保険を見直す人は減っていた。
その半面、この調査のデータでは、「プロによるアドバイス」をきっかけに、保険を見直した人のほうが生命保険に対する満足度は高いということもわかっている。
人生100年時代の保険選びは、すでに生命保険に入っている人も、そうでない人も、やはり面倒がらずに複数のプロのアドバイスを求めることが、快適なマネーライフへの最短コースのようだ。