友人と山菜の天ぷらが評判のお店で食事をしながら、お酒の蘊蓄(うんちく)話をしていたところ、友人が「この前、外国人の社員と懐石料理を食べに行ったら、いきなりコーラを頼んでビックリした」と言いました。
その社員さんはお酒が飲めないのでコーラを注文したようですが、友人は懐石料理にコーラはどうなんだろう? せめてウーロン茶にしたらいいのにと思ったそうです。
「暗黙の了解」では済まされないかも......
確かに、宴席での乾杯ドリンクは「とりあえずビール」が今でも多いですし、飲めない人は「とりあえずウーロン茶」になるのかもしれません。
本当は別のドリンクを頼みたくても、その場の空気を読んで周囲と歩調を合わせておくわけです。このような「暗黙の了解」が日本には多く、そしてそれを守ることが美徳とされる文化でもあります。
日本で働く外国人がビックリしたことのひとつに「宴席でのお酌」があります。乾杯後、お互いにお酌をしあい、時には上司の席へ出向きお酌をする、日本では当たり前の光景です。お酌をしないと気が利かないと嫌味を言わることもあるため、嫌々ながらもお酌をする若手や女性社員もいます。
お酌の習慣がない国から来た外国人にとっては「飲みたくない人に無理やりお酒を飲ませる行為」と映るようです。手酌やウェイターに注いでもらうのが基本の彼らにしてみれば、自分のペースで飲みたいのに強要されたり、相手に強要したりするのは迷惑以外のなにものでもないと考えるわけです。
女性が男性にお酌するのは「気がある」サイン!?
また女性が男性にお酌をする行為は「あなたに気がありますよ」というサインと捉えることもあるようです。「郷に入っては郷に従え」の諺(ことわざ)のとおり、日本で働くのだから日本流の宴会コミュニケーションを取ればいいと思う方もいると思いますが、今後、日本で働く外国人はさらに増え、そして海外経験を持つ日本人も増えています。
日本特有の習慣しか知らないと思わぬ誤解を招くことがあります。
外国人にとって「暗黙の了解」は働くうえで大きなストレスになるともいわれています。お互いに自国の習慣を押し付けるのではなく、文化や習慣の違いをきちんと言葉で伝えて理解し合う努力をすることが大切です。(篠原あかね)