令和元年がスタートし、史上最長10日間のゴールデンウィークが幕を閉じた。日常に戻り、連休ボケで疲れがとれにくく、「5月病かなぁ?」なんて言いながら過ごしている人も少なくはないはず。
そんな長期休暇明けの疲れを感じている男性はご注意! もしかすると、その症状は「男性更年期障害」の現れかもしれない。順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授で、メンズヘルスクリニック東京の男性更年期専門外来の担当医である辻村晃さんに聞いた。
働き盛りの30代で通院する人も
「男性更年期障害」とは、ストレスに起因するホルモン量の低下による病気。多くは50代、60代の男性が該当すると思われるかもしれないが、じつは30代半ば以降の働き盛り世代もリスクを抱えているという。
特に今年(2019年)は、新年度からの生活環境の変化に加えて、働き方改革が実行段階に入ったことや、新元号「令和」と新天皇即位に伴うお祝いムードの中の10連休と、肉体的にも精神的にも男性更年期障害の原因となる「ストレス」が多く潜んでいる。
男性更年期障害は、「集中力の低下」「不眠」「発汗」といった身体的な症状のほかに、「無気力」「不安感」「頭のもやもや」といった精神的な症状もある=下図参照。これらは女性更年期障害とほとんど同じ症状ではあるが、女性とは違って精力低下や男性機能障害などの症状として現れることが多く、うつ病と勘違いされやすいのも特徴だ。
心当たりがある場合は「男性ホルモン」を計測してみる
男性更年期に詳しい専門家である辻村晃教授によると、男性更年期障害は男性ホルモン値の低下が原因のため、「男性ホルモン補充療法」を行うことで大きな改善がみられる。男性更年期障害は、最近では広く認知されつつあり、30代で来院する患者が増えているという。
うつ病と勘違いして心療内科を受診。うつ病の薬をもらい、たくさん飲んでいたがよくならず、仕事も休職するほど症状が悪化した患者さんが、男性更年期障害だとわかりホルモン充填をしたら、みるみる元気になった」という人もいたそうだ。
辻村教授は、「心当たりがある場合は「男性ホルモン」を計測したほうがいい」と薦める。男性更年期外来で「男性力ドック」を受診すれば、わかるそうだ。計測してみて、男性ホルモンが8.5以下になっているようであれば、「きちんと診てもらったほうがいいでしょう」と話す。
一般的に、ホルモン量は運動をすると分泌されるため、「男性更年期障害」を予防するには、適度な運動をすることが効果的とされる。ただ、マラソンやトライアスロンなどの過度な運動は、逆に男性ホルモン値を下げてしまう。
また、気分が高まること、おもしろいと思えること、好きなこと、社会に関わることも男性ホルモンの分泌を促すそうで、デートをしたり、趣味に没頭したりという時間をつくることも大切という。
プロフィール
辻村晃(つじむら・あきら)
順天堂大学医学部附属浦安病院泌尿器科教授
メンズヘルスクリニック東京 男性更年期専門外来担当医
1988年兵庫医科大学卒業。国立病院機構大阪医療センターに勤務後、米ニューヨーク大学に留学。細胞生物学臨床研究員。帰国後、大阪大学医学部泌尿器科准教授などを経て、2017年2月から現職。 生殖医学、性機能障害の治療に注力し、不妊に悩む夫婦を数多く助けてきた。日本泌尿器科科学会専門医・指導医、日本生殖医学会生殖医療指導医。