東京株式市場の日経平均株価は、ゴールデンウィークをまたいだ2019年5月10日にかけて、5日続落。1000円近く急落した。外国為替市場でドル円相場もドル売りが進展。10日の終値は1ドル=110円を割り込んだ。
原因は、またもや「トランプ発言」だ。米国が中国からの輸入品に対して税率引き上げに踏み切ったことで、貿易戦争が再燃するとの懸念が一気に強まった。リスク回避的な円買いが観測された。さて、どうなる? 今週の株式・為替マーケット!
東京株式市場 下げ相場のなか、ピーク迎える企業決算
日経平均株価予想レンジ:2万500円~2万1500円
2019年5月10日(金)終値 2万1344円92銭
今週の日経平均株価は、落ち着き所を探る展開か。
前週の日経平均株価は、トランプ米大統領が中国への関税引き上げ実施を表明したことを受けた米中貿易戦争の悪化に加えて、為替円高の動きも影響し、大幅下落となった。日経平均株価は5日続落となり、下げ幅は約1000円に達した。
今週の日経平均株価は、急落後の反発が期待できるものの、米中貿易戦争の先行き不透明感もあり、上値は重く、落ち着き所を探る展開となりそうだ。
米国による中国製品への関税引き上げで、アク抜け感が出る可能性もあるが、米国の関税引き上げに対しては、中国が報復を発表しており、実際に報復措置がとられれば、米中貿易戦争の悪化懸念が深刻化して、日経平均株価の下げにつながる可能性が強い。
ただ、国内では決算発表がピークを迎え、1000社以上の決算が発表される。これを材料に個別株を物色する動きは強まるだろう。
経済指標は、国内では13日に3月の景気動向指数、14日に3月の国際収支、15日に4月の工作機械受注、16日に4月の企業物価指数、17日に3月の第3次産業活動指数が発表される。
海外では、14日に米国の4月輸出入物価指数、15日には中国の4月の鉱工業生産と小売売上高、米国の4月小売売上高、ユーロ圏の1~3月期四半期域内総生産(GDP)改定値、16日には米国の4月住宅着工件数、ユーロ圏の4月消費者物価指数などが発表される。
東京外国為替市場 中国の対日報復措置に注意!
ドル・円予想レンジ:1ドル=108円50銭~111円50銭
2019年5月10日(金)終値 1ドル=109円94銭
今週の外国為替市場でドル円相場は、ドルが底固い動きになると思われる。
前週の外国為替市場でドル円相場は、トランプ米大統領が対中関税を25%に引き上げると表明したのを受け、米中貿易戦争の悪化から、リスク回避のドル売り・円買いが強まった。ドル円は一時、1ドル=109円台半ばまで下落した。
今週の外国為替市場でドル円相場は、米中貿易戦争の悪化を受けたリスク回避のドル売り・円買いが一たん収束しており、ドルは底固い動きになると思われる。米国で15日に発表される4月の小売売上高や16日の4月の住宅着工件数などが好調な結果となれば、ドル円でドルの買戻しが入るだろう。
ただ、注意が必要なのは、米国の関税引き上げに対して、中国が報復すると発表している点。実際に報復措置が実施されれば、再びリスク回避のドル売り・円買いが強まるだろう。
経済指標では、国内では13日に3月の景気動向指数、14日に3月国際収支、15日に4月工作機械受注に注目。海外では、中国で15日に発表される4月の鉱工業生産と4月の小売売上高が注目される。
(鷲尾香一)