2019年の新卒入社「初任給」伸び悩み? アップした企業は前年より減少

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   空前の売り手市場が続く新卒採用だが、2019年4月に大学や高校を卒業して入社した新人の初任給の上昇ピッチが落ち着いてきていることがわかった。大卒・院卒、高卒などの全学歴で「初任給」を引き上げた企業は18年調査から4.0ポイント下回り、「据え置き」が5ポイント上昇した。

   労働行政研究所(東京都品川区)が、東証1部に上場する2090社のうち、4月9日までにデータの得られた241社について速報集計をまとめた。

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大学卒の初任給、21万2304円也

   学歴別の初任給の水準は、大学院修士課程修了が22万9951円、大学卒21万2304円、短大卒18万2184円、高校卒は17万505円だった。同一企業における前年度の初任給と比較した上昇率は、修士が0.7%、大卒0.7%、短大卒0.8%、高卒0.9%となっている。

   調査によると、35.7%の企業が2019年の初任給を「全学歴引き上げ」を実施したが、その割合は18年速報集計時の39.7%から4.0ポイント低下した。一方、「全学歴据え置き」とした企業は57.3%で、こちらは前年の52.3%から5.0ポイント上昇した。「引き上げ」が減少し、「据え置き」が増加したのは、新卒採用の売り手市場とは対照的な動きだ。

   だが、この結果が初任給の実情を表しているのかというと、そうでもなさそう。今回の調査結果は、東証1部上場の企業の一部から集められたデータ。人手不足が深刻化するなか、中小企業は積極的に採用活動を行っており、そのなかで初任給の調整があったことも考えられる。調査の枠組みによっては、別の結果になる可能性がある。

   18年の労働行政研究所の速報集計による学歴別の初任給の水準は、修士が22万8591円、大卒21万1039円、短大卒17万9207円、高卒16万8048円。厚生労働省が同年11月に発表した「2018年賃金構造基本統計調査(初任給)」では、修士が23万8700円(前年比2.3%増)、大卒20万6700円(同0.3%増)、高専・短大卒18万1400円(同1.2%増)、高卒は16万5100円(同1.9%増)だった。

   厚労省の調査は、新規学卒者の初任給(6月分)について、調査のため抽出された10人以上の常用労働者を雇用する民間事業所のうち、有効回答が得られた事業所の中で、新規学卒者を採用した1万5663事業所を対象に、初任給が確定している1万5155事業所について集計した。

ファーストリテイリング、2020年は2割アップ

   産業別にみると、製造業で46.9%の企業が初任給を引き上げたのに対して、非製造業は22.5%と2割台前半にとどまり、24.4ポイントもの差がみられた。人手不足の社会状況を反映して製造業では各企業が初任給を引き上げて採用に臨んだ一方、金融や情報通信などの非製造業の企業では、進化が著しいテクノロジー依存を強めていることもあり、そうした違いがこの差につながったとみられる。

   製造業の中でも、業績が好調なほど、強い採用意欲をストレートに初任給で示している。カジュアル衣料の「ユニクロ」などを展開するファーストリテイリングは4月に、20年採用の新入社員の初任給を2割引き上げることを明らかにした。現行21万円から25万5000円となるほか、前年入社などの若手社員の報酬も引き上げ、「採用競争力」の強化を打ち出している。

   中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)は2017年に「新卒初任給40万円」の求人情報を掲げて話題になったが、20年の採用情報でも「学士卒:月給40.1万円、修士了:月給43.0万円」などの待遇を掲げている。

   初任給を引き上げた企業の割合をめぐっては、リーマン・ショックの影響を受け世界的不況に陥った09年に、前年の32.7%から6.4%へと大幅にダウン。労働行政研究所によると、その後13年まで10%未満の低空飛行が続いた。

   だが、2014年には輸出産業を中心とする企業業績の回復、デフレ脱却に向けた賃上げの政労使合意などを背景に23.2%と、13年の4.2%から19.0ポイント上昇。賃上げ基調が続いた15年はさらに上昇して39.9%となった。16年は33.9%、17年度は29.4%と30 %前後であったが、18年は再び大きく上昇して39.7%となっていた。

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