年度が替わった2019年4月1日から施行された「働き方改革関連法」。そのポイントの一つは「有給休暇の取得義務化」だが、これについて企業間では4社に1社が否定的な捉え方をしているという調査結果が発表された。管理の難しさや、病気など個人的有事に対する備えへの影響などが理由にあげている。
病気に使える有給休暇が減ってしまう!
調査したのは、求人・求職情報サービスや人材紹介などを手がけるエン・ジャパン(東京都新宿区)。人事担当者向け人事労務業務支援サイト「人事のミカタ」を使って、同サイトを利用している企業を対象に、「有給休暇の取得義務化」についてアンケートを実施。610社から回答を得た。調査期間は2月27日から3月26日。
610社の従業員数による規模別の内訳は、1~49人が218社、50~99人が121社、100~299人が151社、300~999人が81社、1000人以上が39社。新法で企業に新たに義務付けられたのは「10日以上の有給休暇が付与される、すべての従業員に対して毎年5日間、時季を指定して取得させること」だが、これについて「内容を含めて知っている」(63%)「概要を知っている」(33%)を合わせて、その認知度は96%だった。
義務化についての印象を問うと、「非常に良いと思う」(23%)と「まあ良いと思う」(50%)を合わせ、7割以上の企業が良い印象を持っていた。
他方「あまり良いと思わない」が21%、「良くないと思う」が5%と、4社に1社の割合で否定的に感じていることが判明。その理由として、
「個人の有給の取得予定は不明なことが多く年間計画が立てにくい」
「個人の病気等に使える有給休暇が減ってしまう」
などがあげられた。
「現在、有給取得を促進しているか?」という問いには、全体の70%が「促進している」と回答。業種別に積極性をみると、「金融・コンサル関連」(100%)「商社」(79%)「IT・情報処理・インターネット関連」(77%)が上位に並んだ。積極的とはいえないことが示されたのは「広告・出版・マスコミ関連」(36%)「流通・小売関連」(34%)「不動産・建設関連」(27%)。