一流大学出身のITリテラシーが高い平成創業者
その代表的な人物の1人が、フリマアプリを運営する「メルカリ」の創業者、山田進太郎氏(1977年生まれ、早稲田大学卒)だ。山田氏は2013年にメルカリを立ち上げたが、同社は短期間で急成長、2018年に東証マザーズに上場するまで、日本では数少ないユニコーン(推定評価額10億ドル以上の未上場企業)の1つだった。
もう一人が、深層学習技術をコア事業とする「プリファード・ネットワークス」を東京大学大学院在学中に立ち上げた西川徹氏(1982年生まれ)だ。同社はメルカリ上場後の現在、日本で唯一のユニコーンといわれるほどのベンチャーの輝ける星だ。
野望に燃えるワイルドな「昭和の創業者」たちに比べ、「平成最後の創業者」たちがスマートなエリートたちばかり目立つのはなぜだろうか。岩崎さんはこう語る。
「長く続いた日本経済の停滞によって起業は低調でしたが、唯一好調だったのがIT関連です。高学歴でITリテラシーの高い若手イノベーターたちは、相次いで登場する最新のデジタル技術を駆使しながら、様々な分野でスタートアップを立ち上げています。経済停滞で終身雇用制が崩れ、優秀な人ほど外に飛び出す人材の流動性が高まり、彼らの自立心、向上心を高めたことも後押ししています。」
数はまだ少ないものの、海外で起業する人も増えている。「世界を相手に自分の力を試したい」「日本では難しくても、その国ならビジネスの勝算がある」といった積極的な理由からだそうだ。
「『その国が好きで、好きで仕方がないから』という人もいます」と岩崎さん。そんなタイプで岩崎さんのオススメ人物が、小麦粉をタイに輸入する「Connect Asia Interfood」を2018年にバンコクに立ち上げた原五大さん(1985年生まれ・立命館アジア太平洋大学卒)だ。タイの経済発展に伴い、食生活も西洋化してパンの需要が高まる一方、原料の良質な小麦粉が不足している点に着目した。
「タイに来てパンのまずさに驚き、大好きなタイの人に美味しいパンを食べさせてあげたい、と始めたそうです」(岩崎さん)。美味しいパンの基本は、小麦粉の製粉技術にある。そこで、アジアのなかで高い製粉技術を誇る韓国から小麦粉を輸入している。