制約が多すぎて機動的でない
外国人労働者の受け入れ拡大の「ハードル」の一つは、仕事に「制限」があること。バッドさんは、「雇う側としては受け入れる業種を広げてくれるっていうのはありがたいと思いますが、『特殊技能』で制限されてしまうと、逆に受け入れられないということも結構あると思うんです」と指摘する。
たとえば、ある食料品の製造・販売会社に、外国人が勤めることになった。しばらく販売員として働いていたが、工場勤務に異動させたい。ところが、食品製造は特定技能での受け入れに当たるため、やらせる仕事が制限される。つまり雇った外国人労働者を機動的、効率的に働かすことができない可能性があるわけだ。
なぜ、このようなことが起こるのか――。それは改正出入国管理法で新設された「特定技能」制度は、すでにその分野の技術を持った人が働き手の対象となっているためだ。「技能実習」は、技能のない外国人に日本で学んでもらい、母国でその学んだ技能を活かす制度だが、「特定技能」はすでに技術を持った外国人が日本でその技能を活かして働いてもらう制度。そのため、改正入管法は外国人労働者の転職を認めているが、「特定技能」で就労している外国人が他の業種へ転職する場合、転職先が指定する技能試験(14分野)を受験して、合格する必要がある。
日本人が転職するような、簡単な話ではない。まったく別の業種(分野)への転職はもちろん、同じ企業のグループ会社や職場の異動すら、容易でないかもしれないのだ。
バットさんは、「どこか、わかりづらいですよね。たとえば日本人がやったほうがいい作業は日本人がやるべきでしょうし、外国人ができることは外国人がやる。そのような働き方ができれば、(外国人労働者が)働きやすく、また定着しやすくなるのだと思います」と話す。