SDGs(持続可能な開発目標=Sustainable Development Goals)の17の目標は「People」「Prosperity」「Planet」「peace」「partnership」の「5つのP」で構成され、それぞれが連携している。この「P」を、企業はどのように取り組んでいくのだろうか――。
企業のSDGsの取り組み促進を提唱する伊藤園の前顧問でCSR/SDGコンサルタントの笹谷秀光氏に、企業がSDGsに取り組む意義を聞いた。
SDGsはビジネスチャンスとリスク管理の両面ある
―― SDGsの「5つのP」を、企業が具体的に進めていくには、どうしたらよいのでしょうか。
笹谷秀光氏「SDGsは世界各国の政府が合意して、みんなでやろうということになっているのですが、活動の主体は企業であれ、ステイクホルダーであれ、義務ではありません。それぞれ、やれる人がやれることから、すぐにも着手してほしいということです。
では、なぜ義務もないのに取り組むかというと、理由は二つあります。『17の目標』は企業が活動するうえでチャンスがあります。ある課題に対処しようと考えることが、みなさんのビジネスチャンスにつながる可能性が高いわけです。『17の目標』で、その方向性が示すことができます。
たとえば、水に関する技術を持っている企業が水の課題について、いろいろな解決策を提示すると、とてもいいビジネスチャンスになります。エネルギー会社が求められているエネルギーの構造に適応できるとか、街づくりの企業が街づくりの持続可能な項目に対処するとか。それらがビジネスチャンスになる。社会課題を解決しながらビジネスを進めていけば、他社との差別化になり、競合他社との競争上も生かせます。そういう意味で、チャンスを探しましょうという、これが一つです。
その一方で、『17の目標』はリスクチェックの要素でもあります。たとえば、SDGsは女の子の虐待を許しません。モノを作るときに原料を調達したり製造したり販売したりする流れ、サプライチェーンの中で女の子を虐待しているような企業があると、すぐに退場になりますよというようなことが盛り込まれています。それをきちんとやらないとダメ。リスク面の課題としては、特に地球環境、労働慣行、人権侵害。このあたりが重要なリスク管理項目になっているわけです。
企業としては一方でチャンスを見出し、持ち味を生かした製品を作ったり、サービスを提供したり、その際にリスクに抵触しないように、きちんとリスク管理しながらやりましょうと。SDGsはその両方で使える内容なので、非常によくできたツールになると思っていますし、いち早く取り組む企業ほど、ビジネスチャンスが広がると思います」