主流派の経済学者が財政赤字に寛容になった
こうした状況のなか、ここに来て思わぬところから援軍が来ています。MMT(現代金融理論)という新しい学説が出てきて、米国の左派の支持を得ていることは最近知られはじめていますが、これは流石に危険な学説であり、MMTを本当に支持する人はほとんどいません。
ところが、MMTに引っ張られた面もあるのでしょうか。主流派の経済学者がかなり財政赤字に対して寛容になってきています。
この3月に出た、サマーズ元米財務長官とLondon School of Economics(LSE)のレィチェル教授の共同論文(On Falling Neutral Real Rates, Fiscal Policy, and the Risk of Secular Stagnation.)では、サマーズ教授(元米財務長官)の持論である長期停滞論を実証分析。先進国の低金利は一時的なものではなく、今後50年以上続くと見込んでいます。その主因が、民間の投資不足にあるので、「マクロ経済のバランスを保つには一定の財政赤字が必要」と、結論づけています。