損切りが苦手でも勝てる?
フルタイムのトレーダーであるシュワルツ氏は、損切りの苦手なトレーダーだった、と語っている。
自分の間違いを認めたくないため、損が出るとカッとなってしまい、損切りができなくなることがあるようだ。専業トレーダーとして独立した後も、迅速な損切りができずに痛手を被ったトレードがあったと記している。
それでも、シュワルツ氏の取引は、勝率が7割から8割にのぼる。ポジションを保有する時間をなるべく短くして、できるだけ高勝率を維持していたようだ。
そのためか、うまく行くトレードの場合、不安を感じるようなことはないらしい。もし不安を感じるようなら、それは迅速な損切りを求められる場面ということだ。
一方、ダーバス氏の著作「私は株で200万ドル儲けた」(パンローリング刊)によれば、彼はとにかく怖がりで、損切りは徹底しているものの、利益を伸ばすことができずに薄利で決済してしまうことが多かったと語っている。
その取引は、勝率はよくて5割だったという。つまり、2回に1回以上も判断を間違えている。だが、「損小利大」という投資のことわざにあるように、損切りを小さくして、利益となっている株をできるだけ、伸ばすことで利益を上げていた。
ダーバス氏は「大きな利益となるトレードほど、不安は大きくなる」と語っている。早く利益を確定させたいと思うような局面でも、グッとこらえるのが、成功の秘訣だったようだ。
「損切りは素早く、利益は伸ばせ」という投資の格言がある。シュワルツ氏は損切りが苦手、ダーバスは利益を伸ばすことが苦手だった。両者ともに共通するのは、自身の弱点を克服して、初めて成功できた点だ。
どちらの偉大な投資家が、自分の性格に近いと感じるだろうか?
今後の投資活動の一助になれば幸いである。(ブラックスワン)