Peopleの「P」は「貧困ゼロ」を目指す
―― 具体的に、教えてください。
笹谷氏「たとえば、一つ目の『P』のPeopleは、発展途上国では子どもが生存の危機に瀕していることから、まず解決しなければならないのは貧困だと。それで『貧困をゼロ』に、が目標1になっているんですね。2番目は『飢餓をゼロ』に。食べるものをキチッと確保できるか。これは農業の持続可能なシステムも含まれています。3番目は『健康』であること。この必須3要素が洗い出されて、こうした課題をきちんと学ばなければ、将来につながらないということで、4番目の『質の高い教育』が設定されているわけです。
教育というのは、学校教育もその一つではありますが、職場での訓練や研修、最近話題のリカレント教育、生涯教育なども含め、みんなで学ぶことを目標としています。アクティブラーニングのように考えて、きちんと自分の力にできるように学ぶ。学んだ結果、その過程で5番目の『ジェンダー』、平等も大事であることがクローズアップされてきます。発展途上国における女の子への虐待は絶対に許されません。一方、先進国では男女平等。日本では女性活躍になりますね。そして『P』の6番目は、世界的にみると『水』なんです。水とトイレ。これがないと衛生環境が悪い。これら6つの項目は人類が生存するうえで必須とされています」
(つづく)
(会社ウォッチ編集部)
プロフィール
笹谷 秀光(ささや・ひでみつ)
伊藤園 顧問 CSR/SDGコンサルタント
1976年東大法卒。77年に農林水産省入省。2005年環境省大臣官房審議官、06年農林水産省大臣官房審議官、07年関東森林管理局長を経て、08年に退官。伊藤園入社。10〜14年取締役、14〜18年常務執行役員。18年5月から、現職。
19年4月から、社会情報大学院大学客員教授。
31年間の行政経験と10年のビジネス経験を活かし、企業の社会的責任、地方創生などのテーマを考える。特に企業ブランディングと社員士気の向上を通じて企業価値を高めるための理論と実践について、アドバイザー、コンサルタント、講演などを幅広くこなす。