後継者問題解決に妙案! 廃業やM&Aの道を選ぶ前にやってみること(大関暁夫)

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   金融機関が主催する有識者会議に出席しました。テーマは「事業承継」。近年、廃業やM&A(企業の合併・買収)などで、地方では地元経済を支える老舗企業を失うという事象も多くなりました。

   彼らのメインバンクである地方銀行は古くからの取引先を失い、ただでさえ貸出先を確保するのに苦労している地方銀行にとっては、ますます厳しい状況に追い込まれる事態になっています。なにか、解決策はないものかと--。

  • 後継者問題、うまくいけばいいけど……
    後継者問題、うまくいけばいいけど……
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後継社長になるにもカネがいる

   中小企業が廃業やM&Aに追い込まれる原因は、何と言っても後継難です。血縁者の跡取りが存在しない、あるいは後継ぎ拒否という事態に陥ると、もはやそれまでの延長で事業を続けることが難しくなってしまいます。

   ならば、従業員を後継として育てればいいじゃないか、と思われる向きもあるかもしれませんが、それは口でいうほど簡単ではないのです。

   ひとつは、株式譲渡の問題。経営権を従業員に譲ろうとも、株式を前社長が持ち続けていたのでは、後継社長はどこまでも身分保障のない雇われの身。社長が亡くなって株式が相続され、相続人がもし他人に譲渡するようなことがあれば、新たな株主の意向次第で後継社長は有無を言わさずクビになるかもしれず、そんな不安定な社長のイスなど誰も座りたくないわけです。

   では、社長のイスを譲り受けると同時に、前社長の持ち株を買い取って、名実ともに実権を握ってしまえばいいのですが、それがまたたやすくはないのです。

   社長のイスを引き継いで、会社を継続させる価値がある企業であればあるほど、企業価値はそれなりにあるわけで、株式の買い取りにはそれ相応の資金が必要になるわけです。

   しかし、たとえ後継候補が社長の右腕の幹部社員であろうとも、一介のサラリーマンには変わりがないわけで、おいそれと株式を買い取る大金など手元にないのがふつうです。ならば、銀行がお貸ししますという流れもあるにはあるのですが、ウン千万円単位の借金を背負い込むのは、家族の反対にあうことも含めて高いハードルが存在するのです。

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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