組織改革で悩んだコンサルタント...... 自ら起業「最高の組織」をつくる【flier】

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ピラミッド型から「輪を描く組織」に

   大賀さんは、コンサルタントや起業家、経営者を経験して「実現性のある法則が見いだせた」という組織論を広くしってほしいと考えた。「最高の組織」の冒頭に、フライヤーの無料サービスの1冊として「要約」を掲載している。

   コンサルタントの時代から悩んでいたという組織作り。「クライアント企業の組織改革をしたことがあるが、それは哲学や他の制度との一貫性がないとうまくいかない。だから、単に組織をいじることに個人的には抵抗があった。思想のない小手先の組織改革では、組織文化や生産性の改善につながらないからだ。厳しい企業再生局面などの収益性が最優先になる環境下では、雇用が犠牲にならざるをえないこともあった。」と振り返る。

   そして、起業家から経営者となり、自ら組織を運営する中で「どうしたら、会社にいるメンバーの個性を生かした会社になれるのかを考え続けていた」。

   「既存の組織というのはほぼピラミッド型。組織長の人がやる気がなかったりすると、その存在がボトルネックとなって、それ以下にいる人たちは機能しない。組織長に就く人も、有能でない人が一定の割合で存在する。そしてそれらがあらゆる階層で起きている」。コンサルタントとして観察してきた現状分析だ。大賀さんは、こうした「世の中の常識」に抵抗しながら、自ら「よし」と思った組織作りに努める一方、他の経営者らと議論を重ねて「一人ひとりのメンバーがのびのび活躍できる」ための理論を確信した。

   従来と違うのは、縦にのびるピラミッド型ではなく、横に広がる階層のない形態(フラット型)であること。そして「CEOもデザイナーも、各メンバーで役割分担はあるけれど、それぞれが水平でつながって、必要なことを必要な人と話せる『輪を描く組織』であること」だ。

「理想的な組織形態は輪を描いているようなものである。その輪には頂点はなく、輪の構成要素の一人ひとりは、デザイナー、エンジニア、セールス、CEOなどすべてのメンバーだ。誰が前に出ることも後ろに下がることもない。各メンバーの得意なことや好きなことを集めて役割を分担し、その力を総合すると自然に会社が動いているような状態にする」。

   大賀さんは、こうした「進化型組織」が理想の形の一つであり、今後、この組織構造の企業が増えていくとみている。

(松本良一)

「最高の組織」
大賀康史著
自由国民社
税別1500円

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