セールストークでアイツに勝つには 「ストーリーテリング」を身につけろ!(気になるビジネス本)

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   スマートフォンなどデジタル携帯端末の進化でコミュニケーションは、絵文字やスタンプを交えたテキストが幅を利かす。

   メールがあればトーク不要の時代になったかとも思われたが、巷では、話し方教室があちらこちらで盛況で、街の書店や本の通販検索でビジネスマナーとしての話し方、コミュケーションのトレーニング法や、プレゼンについての書籍を探す動きも目立つという。

「ゼロからつくる営業ストーリー」(ポール・スミス著、藤戸良憲訳)TAC出版
  • すぐれたストーリーを挟めば、プレゼンの効果は大きく増すはず
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社会人1年生、その予備軍にも

   4月になって企業にも学校にも「新1年生」が加わって、研修やオリエンテーションの日々を過ごしている。この間には何度も自己紹介を求められ、辟易している向きもあるかもしれない。新年度になる少し前からは、2020年卒向けの企業説明会が始まり、先輩社員らとの懇談などを通じてコミュケーションの力が試されている。

   トーク力の向上、話し方のスキルアップの指導に対する需要は、新1年生やその予備軍のあいだでも高く、そのためのレッスンや参考書の引きも強まったとみられる。

   「ストーリーテリングの世界有数の専門家」であるポール・スミス氏による「ゼロからつくる営業ストーリー」(TAC出版) も、そうした需要に応える一冊だ。スミス氏は、米ビジネススクールランキングで毎年トップを争うペンシルベニア大学ウォートン校でMBAを取得。その後、世界最大の一般消費財メーカー、プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)に20年間勤務し、リーダーシップやストーリーテリングのスキルを培った。

「泳ぐブタ」めぐる経験

   「ストーリーテリング」は、ストーリーを使って、セールスなどのコミュニケーションの相手に強い影響を与える技術。著者はアートフェアでみつけた「泳ぐブタ」の写真をめぐる経験で説明を試みる

   その経験とは、こういうことだ。

   ブタはバハマ諸島の中の無人島で暮らす1頭。地元の実業家がベーコン作りのためにブタを持ち込んだものだが、島にはエサになる食べ物がほとんどなかった。ブタたちはいつのころか、別の島の飲食店業者が、ブタたちの島の岸から数十メートル沖に残飯を捨てていることに気が付き、泳ぎを必死で覚えたという。島は「ピッグ・アイランド」として知られるようになり、今ではボートが近づくとブタたちが泳いでやってくる。

   撮影した写真家からこのストーリーを聞いた著者は「それなりの金額を払ってもいい」という気持ちになり、購入を決めたという。「ストーリーでものが売れる。すぐれたセールス・ストーリーなら、より多くのものを売ることができる。本書は、そうしたすぐれたセールス・ストーリーを語る一助となるよう書いた」と著者。ストーリーテリングは、その才能に生まれながらにして恵まれている人がいるが、勉強で身につけることは可能だという。

   「時間をかけて学び、練習すればうまくなる」。本書ではそのつくり方から実践までが具体的に明かされる。

   ちなみに「泳ぐブタ」の写真は、本書の表紙に使われている。

トークも向上

   第1章「セールス・ストーリーとは」で、ストーリーの「6つの特性」を列挙。時間を示すもの、場所を示すもの、主人公、試練、目標や望み、できごと―で、これらの要素があれば、著者のいうストーリーとなる。この説明をうけて、製品などを説明する4つの「話」を提示しストーリーかどうかの判別を求めるのだが、6つの要素のどれがなくてもストーリーになっていないことが歴然で興味深い。

   セールス・ストーリーは、すぐれた内容ほど、顧客をつなぎとめる可能性が高まり、さらに多くを売ることができるようになるという。効果的なストーリーつくりのスキルを身につけ、テクニックを学べば、営業活動ばかりでなく、自己紹介、面接、スピーチなど、トークが必要なさまざまな場面でも大いに役に立つ。

『ゼロからつくる営業ストーリー』
ポール・スミス著、藤戸良憲訳
TAC出版
税別1600円

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