勤務時間中は出張先でも喫煙はご法度
その間、喫煙者を対象に医療の専門家を招いて、いかにタバコが健康を害するかを教え込むセミナーを実施。禁煙の相談に応じるカウンセリングの窓口も作った。そして、極めつけが2018年10月、全役員と部室長以上の幹部たちに就業時間内での全面的な禁煙を指示したことだった。
住山さんは、こう説明する。
「これは夜のプライベートな時間をのぞいて、勤務時間中はたとえ出張先でも吸ってはいけないということです。こっそり吸う方がいるかもしれませんし、すべてに干渉できるわけではありませんが、マインドの問題として幹部の方々に禁煙の自覚を促しました」
2016年の禁煙プロジェクト開始時は、社員約2700人の20.8%が喫煙者だった。これは厚生労働省の調査(2017年)の全国平均17.7%より高い。これを2020年には、12%以下にするのが目標だが、スモーカーの幹部たちの抵抗はなかったのだろうか。住山さんは語る。
「特に抵抗があったとは聞いていません。社長の大場康弘はもともと吸いませんし、幹部たちから率先して健康経営の姿勢を示そうということですから」
こうなると、全社に広がるのは時間の問題だった。半年後の2019年4月、就業規則上の休憩時間をのぞき、すべての社員が勤務時間中での喫煙が禁じられた。こっそり遠くに行って吸ってもいけないのだ。もちろん、一人ひとりに監視をつけるわけにもいかないが......。と同時に、2020年4月入社の社員の募集要項に「非喫煙者もしくは入社時点で喫煙されない方」という条件が明記されることになったわけだ。
「幹部の段階で、『会社は本気だ』ということがわかっていましたから、特に抵抗や反対はありませんでした」(住山さん)