男子ゴルフ、今季メジャーの第1戦マスターズ・トーナメントで、タイガー・ウッズ(米)選手が11年ぶり15度目となる優勝を果たし、見事な復活劇を演じました!
勝利の瞬間、両手を突き出して喜びを爆発させたウッズ選手。「どん底時代」を支え続けた「あの企業」の評価もうなぎ登りです!
「Woods is back!!」
優勝パットを決めた瞬間、まるで初優勝したかのように全身で喜びを表したウッズ選手。試合後のインタビューで、「優勝の瞬間は叫んだことぐらいしか覚えていない」と語ったほど、我を忘れてしまったそうです。
不倫問題や離婚といった私生活でのトラブルや度重なる手術を乗り越えて、「どん底」から再び頂点へと這い上がってきたウッズ選手の姿に、涙した人も多かったのではないでしょうか。
海外メディアはいっせいにウッズ選手の復活をトップニュースで伝えましたが、最もインパクトがあったのは、次の見出しでした。
Tiger Woods is back!
(タイガー・ウッズが戻ってきた!)
シンプルですが、復活を待ち望んでいた気持ちがこもった表現ではないでしょうか?
「Woods is back!」(タイガーが戻ってきた!)と叫ぶファンの声が聞こえてきそうです。
他には、「make a comeback」(カムバックを果たす、復活する)を使った報道も目立ちました。
Tiger Woods made a comeback
(タイガー・ウッズが復活した)
メディアによって、異なった形容詞を使っていたのがおもしろかったです。形容詞一つで伝え方が変わる、という好例ですね。
Tiger Woods made a stunning comeback
(タイガー・ウッズがすばらしい復活を果たした)
stunning:すばらしい
Tiger Woods made an emotional comeback
(タイガー・ウッズが感動的な復活を果たした)
emotional:感動的な
Tiger Woods made a remarkable comeback
(タイガー・ウッズが驚くべき復活を果たした)
remarkable:驚くべき
「make a comeback」(復活する)は、「業績(売り上げ)が復活した」など、ビジネスの場面でもよく使います。人事でも「復活する」ことがありますから、覚えておくと便利でしょう。
長年の忠誠が「報われた」!
今回の復活劇からは、タイガー・ウッズ選手が世界中の人から愛されていることが伝わってきました。私生活でのトラブルや相次ぐケガなど、ウッズ選手が「どん底」で苦しむ姿を見てきただけに、勝利の味は格別のようです。
Tiger Woods rises from the ashes
(タイガー・ウッズは、灰からよみがえった)
rise from the ashes:復興する、(不死鳥のように)灰からよみがえる
そんななか、プロデビューをした1996年からウッズ選手を支え続けてきたNIKE(ナイキ)の株価が、ロゴマークのように急上昇するという現象が起きています。
「栄光」の時も「どん底」の時も、一貫してスポンサー企業であり続けたナイキは、企業イメージだけでなく株価も大幅アップ! なんと、約25億円もの宣伝効果を獲得したと報じられています。
Nike's years of loyalty to Tiger Woods paid off
(ナイキの、タイガー・ウッズへの長年の忠誠が報われた)
pay off:報われる、努力が実る
「pay off」は、「借金などを完済する」という意味の他に、「努力が実る」「報われる」という意味があります。多くのスポンサー企業がウッズ選手を見放した時も、変わらず支え続けたナイキ。民間企業としては、よほどの強いポリシーが無いとできないことです。
オリンピックを控えて企業とスポーツのあり方が問われるなか、スポンサーシップのお手本を見せてもらった気がします。
それでは、「今週のニュースな英語」は「pay off」を使った表現を紹介します。まずは「借金を返済する」という言い方です。
I paid off my debts
(私は借金を返済した)
debts:借金
副詞の「finally」で、「やっと返済できた!」というニュアンスを追加してみましょう。
I finally paid off my debts
(やっと借金を返済した)
「努力が報われた」という使い方も覚えておきましょう。
Your hard work paid off
(あなたの努力が報われた)
ゴルフ界の若きスターだったウッズ選手も、もう43歳。優勝直後に二人のお子さんと抱き合う姿が感動的でした。「どん底」を乗り越えて、歴史に名を残すスーパースターになった瞬間でした。(井津川倫子)