中国の経済指標が急激に改善しはじめています。
2019年3月31日、おもしろいことに中国は日曜日にも経済指標発表があるのですが、製造業PMI(購買担当者景気指数)が予想で49.6。前月49.2のところ50.5と大きく改善。しかも好不況の境目とされる50を上回ってきました。
非製造業PMIも前回54.3のところ54.8と順調です。翌4月1日(月)には、民間の指標であるCaixin中国製造業PMIが発表されましたが、こちらは前回49.9のところ50.8と上振れ。サービス業PMIも54.4と、前回51.1から大きくリバウンドしています。
「豪ドル買い、NZドル売り」に妙味
4月12日(金)には貿易収支が発表され、輸出が前回のマイナス20.7%という大きな落ち込みから14.2%とリバウンド、中国製品が世界に広く受け入れられていると言う事実を示しました。
中国の経済指標改善がなぜ重要なのか――。それは中国こそが景気後退の震源地と見られているからです。
欧州は依然として悪い経済指標の発表が続いています。特にドイツは製造業PMIが44.1まで落ち込んでいます。しかし、たとえ今が悪くても、中国がよくなれば欧州の対中輸出が増え、悪い状態から改善してくるでしょう。
欧州と中国は距離的に離れているので、ピンとないかもしれませんが、中国の影響はそれだけ大きい。それだけ中国経済は規模が大きいとも言えます。
オーストラリア(豪州)やニュージーランド(NZ)といった国々への影響も、小さくありません。豪州の輸出先第1位は、ダントツに中国です。中国経済回復で商品市況も改善すれば、多くの恩恵をもたらします。
豪州は不動産市況の低迷という問題を抱えてはいますが、中国経済が回復すれば、NZ以上に豪州が恩恵を得るでしょう。NZは金融緩和観測も強く、目先は「豪ドル買い、NZドル売り」の取引に妙味があると思います。
「リスクオン」で株価にも好影響
中国経済の回復が、どのようにマーケットに影響を及ぼすか、少し整理したいと思います。
欧州は、一層の金融緩和に踏み込む必要がなくなります。そうなると、ユーロドルには反発余地が生じます。豪州やNZといった国々も、さらに金融緩和する必要がなくなる可能性が高まります。豪ドルやNZドルといった通貨ペアも、反発の余地が生じます。
それから、世界的に景気が支えられることになるので、リスクオフ(相対的にリスクが低く、安全と思われる資産に資金を移すこと)というよりリスクオン(相対的にリスクの高い資産に積極的に資金を移すこと)的なマーケットとなります。
株価にも、もちろん好影響があるでしょう。
すなわち、ユーロドルは下方への警戒から、意外な反発局面を目先迎える可能性があります。ユーロ円や豪ドル円、NZドル円などのクロス円取引はアップサイドへの警戒です。ドル円も下支えられるでしょう。このように考えてみると、方向はまったく180度違います。
中国経済に対する懸念から、2018年末以来、リスクオフ的展開となりましたが、これからは違ってきそうです。急激なリスクオン的展開に、注意したほうがいいのかもしれません。(志摩力男)