現在隔月で、私個人が主宰する企業交流フォーラムを開催しています。その目的は、やや使い古された言い方にはなりますが、企業間におけるオープンイノベーションの実現です。
オープンイノベーションとは、大企業から中小、ベンチャー企業までが分け隔てなく事業協力を展開すること。特に大企業が、ベンチャー企業の新たな開発技術や独自のビジネスモデルを、自社の新たな事業展開に転用するというようなケースをもって、オープンイノベーションの典型的な成功事例をするムキが強いようです。
名刺交換後のアポイントに「音沙汰なし」
先日、会員の紹介で当会に何回か参加されたITベンチャー企業経営S社長が、懇親会の席上で、こんな話をしていました。
「これまでも、いろいろな企業交流会に参加しています。最近は、同じようにオープンイノベーションをうたった集まりも多いのですが、実際には意外なほどに敷居が高いのです。確かに集まりによっては、ふつうではなかなか名刺交換できない方々と交流はできます。でも、話が弾むなんてことはまずありませんし、その後連絡を取ってみても大抵はなしのつぶてです。こちらは、敷居が低くて本当にありがたい。大企業のトップや幹部の方々も、皆さん非常に気さくで、お陰さまで何件もビジネスの話が進行しています」
このような話は必ずしもS社長に限った話ではなく、多くの参加者の方々から似たようなお話が出ています。じつは交流会とは名ばかりで、中小企業やスタートアップ・ベンチャーにとっては、なかなか他社交流、特に大手企業との交流が図れないというのは、世の経営者が集まる企業交流会あるある、オープンイノベーション会合あるあるのようなのです。
そのような経験が原因で、企業同士の交流会と名が付く集まりは「おカネと時間の無駄」と一切参加しないという経営者も少なくありません。
私自身、交流会を立ち上げる前にたくさんの交流会に参加して、この手の集まりの研究を重ねました。当然、S社長と同じような経験も多々しています。すなわち、会合で著名な企業経営者との名刺交換後にメールでアポイントの連絡をとらせてもらっても、一切返事が来ないなどというのは、日常茶飯事なのです。