東証1部上場の「東海カーボン」を選んだ。その理由は、事業内容や業績、さまざまな株価指標が総じて優秀な水準にあったからだ。
前回選んだ独立系投資信託会社のスパークス・グループは、学生にも購入しやすい株価という一つのテーマのもとに選んだ。だが、今回は特にテーマを設けたわけではなく、あくまで長期的な成長を見据えたファンダメンタル寄りの銘柄を選択した。
柱の一つ、黒鉛電極事業は世界シェア5位
【東海カーボン(5301)】
2019年3月25日終値の1363円で、100株を購入
年初来高値(2019年2月13日) 1644円
年初来安値(2019年1月4日) 1156円
3月29日現在 1382円
東海カーボンは1918年に設立された、その名からもわかる炭素製品の総合メーカー。製鉄の過程で使用される「黒鉛電極」をはじめとした、多くのカーボン製品を開発、製造、販売している。近年、業績を伸ばしている炭素業界のパイオニアだ。
社長は、長坂一氏。東海カーボンの前身である「東海電極製造」に入社後、取締役などを歴任。2015年社長に就任した。資本金は204億3600万円。
同社の事業は、次の三つに大きく分けられる。
・黒鉛電極事業
・カーボンブラック事業
・ファインカーボン事業
黒鉛電極は、スクラップを溶かす際に用いられる熱伝導体のこと。「高炉方式」と「電炉方式」に分けられる鉄鋼の製作方法のうちの、「電炉方式」の中核を担う存在である。
注目したいのは、これまで主流であった高炉方式から、電炉方式へのシフトが進んでいるということ。電炉方式は高炉方式と違い、鉄鉱石を主原料としない。そのため、環境への影響に配慮していて、時代のニーズにマッチしているのだ。下図にあるように、特に世界の粗鋼のおよそ半分を生産している中国で、電炉方式の人気が高まっており、今後に大きな期待がかかる。
そんな黒鉛電極市場で、東海カーボンは世界シェア5位。世界の黒鉛電極のおよそ10%を生産している。2017年には北米の黒鉛電極メーカー「SGL GE Carbon LLC」に対してM&Aを行い、北米市場の需要を取りこみつつ、事業の拡大を図っている。