最近、「アウトプット」という言葉をよく耳にするようになりました。これまでは、インプットの方法論に注目が集まっていました。
しかし、どんなに有益な情報をインプットしても「アウトプット」しなければ成果には結びつきません。今回はそんな「アウトプットブーム」を巻き起こしている一冊です。
「学びを結果に変えるアウトプット大全」(樺沢紫苑著)サンクチュアリ出版
情報発信にブログが最適である理由
まず、著者の樺沢紫苑さんは情報発信の重要性を指摘します。そして、多くの手段の中でブログがもっとも効果が高いといいます。Facebook、TwitterなどのSNSは、不特定多数に届かないので、情報発信ではありません。さらに、メルマガやYouTubeは難易度が高いので、継続するのが簡単ではありません。
「ブログの効果」を樺沢さんは、こう言います。
「ブログは文章さえ書ければ、誰にでもできます。人気が出ると何万アクセスも集まり、ブロガーとして生活することも可能になります。入口が入りやすく、可能性は無限です。ブログには二つの大きなメリットがあります。一つは、『シェアされやすい』ということです。私の実験では、Facebookページとブログに同じ記事を掲載した場合、ブログのほうがシェアされる数が5倍以上という結果が出ています。
二つ目のメリットは、Googleアナリティクスと連動させることによって、『アクセスを解析できる』という点です。リアルタイム解析を見れば、いま、何人見ているのかまでわかります。どんな記事にアクセスが集まり、人気があるのか。そこを分析することで、文章に対する詳細なフィードバックが得られます」
さらに、樺沢さんは「ブログを成功させる秘訣」が二つあるといいます。
一つ目は、「独自ドメインの取得」と、WordPressなどで自分のブログを構築することです。ブログのポータルサイトを構築するASPパッケージやサービスサイトは、自分で広告を貼れない、ビジネス目的の使用が禁止されているものが少なくないからです。 二つ目は、「毎日更新すること」です。人気ブログにするためには、ある程度の記事数がなくてはいけません。1日1記事を書き続ける。その中で、文章力も上達し、アクセスが集まる記事も出てきます。
Googleの仕組み上では良質な記事が1000本以上あると「人気ブログ」と認められやすく、結果として、検索エンジンでの評価がアップします。
ポジティブ日記で文章力アップ
「アウトプットを始めよう!」「文章を書いてみよう!」と意気込むと、なかなか進まないことがあります。このような時には、どうすればいいのでしょうか――。樺沢さんは、アウトプット・トレーニング方法として「日記を書く」ことを推奨しています。
「日記は、基本的にポジティブな出来事や、楽しかった出来事を中心に書きます。1日の中から『ポジティブ』と『楽しい』を思い出す作業を毎日行うことで、ポジティブ思考が訓練されて、日常の中から『楽しい』を発見する能力が高まります。『日記を書く』だけで多くのメリットが得られるようになります」
樺沢さんは、そう説きます。
「今日の出来事を文章に書く。これは『表現する』ことであり、内面に溜め込んだものを発散するということ。つまりストレス発散効果得られます。悩みごとを誰かに相談しなくても自分で紙に書いたり、日記を書いたりするだけでストレスが軽減することは、多くの心理実験により明らかにされています」
ブログやアウトプットするほどの情報がない人でも、1日を振り返ると、何がしかの出来事が起こっているものです。私は、ニュース記事や書評などを毎日書いていますが、アウトプットすることで習慣が身につくことは間違いないといえます
「おすすめする方法は『ポジティブ日記』です。今日あったポジティブな出来事、楽しい出来事、うれしい出来事などを『3つ』書くというもの。最初は、箇条書きで3行書くことから始めて、慣れてきたら3つの出来事について、数行ずつ詳しく書いていく。箇条書き→短文→長文にステップアップしていくといいでしょう」
と、樺沢さん。
樺沢さんが独自のアウトプット理論を確立したのは40歳を過ぎてからです。まずは、自分に合った方法を見つけるようにしましょう。さらに、どれだけ続けられるかもポイント。学びに年齢は関係ありません。(尾藤 克之)