米大リーグ、シアトル・マリナーズのイチロー選手が、日本で行われた2019年の開幕シリーズをもって28年にわたる現役生活に終止符を打ちました。
日本のプロ野球で9年間、米大リーグで19年間。常に第一線で活躍を続け、前人未到の通算安打の世界記録4257安打、最多試合出場記録3563試合という超人的な活躍を続けてきた、間違いなく賞賛に値する稀代の大選手であると言えるでしょう。
また、今回はその引退の潔さに、改めて感心させられもしました。イチロー選手の姿勢には経営者が学ぶべきことが多々見えるので、そんな観点で今回はこの話題を少し取り上げてみたいと思います。
一日も欠かさずルーチンワークを続ける
まず何より注目したいのは、イチロー選手のいわゆるルーチンと言われる、毎日しつこくしつこく同じことを繰り返すという努力姿勢です。
毎日やると決めたことは、どんなに調子がよくても手を抜かず、あるいはどんなにスランプで絶不調であっても諦めず続けるということ。「愚直」という言葉がピッタリくるこの姿勢。驚くことに、2018年5月3日付でマリナーズ会長付特別補佐という試合には出られない肩書きになって以降も、一日も欠かすことなくルーチンワークを続けてきたそうです。
私は常々ビジネス万能の法則として「成果の法則」、すなわち「成果=知識・情報量×行動量」を念頭においた行動のすすめを提唱しています。
これは、何事も知識と情報を蓄えたうえで行動量を着実に増やせば、成果は絶対についてくるという理論です。特に行動量の増やし方に関して最も効果的な方法は、日々愚直に繰り返すということ。イチロー選手はどのように自分を鍛え、どのような技術を身につけたらいいのか、たゆまぬ研究と情報収集に注力し、作り上げた彼のルーチンワークを、とにかくコツコツと愚直に愚直に継続していくことで前人未到の記録を次々築き上げた、まさに「成果の法則」の手本なのです。
経営者がここから学ぶべきは、やると決めたことを積み重ね実践することの重要性です。たとえば、業績が伸び悩む場面にぶち当たったならば、営業方法を工夫しそれを営業担当全員に日々愚直にやらせるとか。社内のコミュニケーションの流れが悪くギスギスした雰囲気を感じたならば、社長自身がコミュニケーションの中心に立って、社員一人ひとりの意見を聞きそれに答えるといった行動に、毎日一定時間を割いてみるとか。社員の残業がなかなか減らないならば、毎日毎日、意識が定着するまで定時退社を声かけするとか。
せっかく前向きな施策を思い立っても、それが成果につながらない原因の大半は、それを続けないこと、すなわち成果が見えないからと簡単に諦めてしまうことにあるのです。