米では高齢者と子育て世代マッチングも
たとえば、事故の原因にもなりかねない高齢者の「独居」の問題を緩和するためには、シェアハウスが有効。都心のマンションで一人暮らしをする「独居老人」が増え続け、そのペースが年間3万人にのぼり「つながりを失った末、だれにも看取られずこの世を去る『孤独死』の問題は深刻」と指摘する。
「不安が強まるなか、老後も安心して暮らすために必要なことは、つながりではないでしょうか。困ったときに手を差し伸べてくれる人がいること、生きがいを感じられるコミュニティーが複数あることこそ、一番重要」という。米国では、ルームメートを探しているシニア同士、子育て世代と部屋が余っている自宅に暮らす高齢者との同居をマッチングするサービスも生まれているという。
シェアリングの普及で、日本でも徐々に、企業に属さず、好きな場所で、好きな時間に、好きな仕事に従事することも可能になっている。これまでのところは、専門性の高いスキルを持っている人に限られてはいるが、今後は、そうしたスキルがなくても、自分が所有している場所やモノ、経験や知識をシェアとして提供して収入を得られることが考えられる。収集物の一部や作ったモノを売ることもでき、現役を引退した高齢者にもマルチな収入の道が開かれる。
デジタル時代の個人間の共助の仕組みでもあるシェアリングについては、政府でも積極的に採り入れていく考えで、その動きを本格化させている。石山さんが「内閣官房シェアリングエコノミー伝道師」に就いたのもその表れ。また、経済産業省では「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」を立ち上げ、2018年11月から19年2月までの3か月間に3回の会合を開くなど積極的に活動している。
「シェアライフ 新しい社会の新しい生き方」
石山アンジュ著
クロスメディア・パブリッシング/インプレス
税別1280円