投資には、さまざまなスタイルがある。一般に、デイトレードや中長期投資と呼ばれているものがそれだ。
株式投資は相場が開いているのが平日の9時から15時のため、9時から17時まで職場で働いているサラリーマンなら、デイトレードはほぼ無理で、中長期投資が人気だ。一方で、FX(外国為替証拠金取引)は平日24時間相場が開いているため、学生やサラリーマンでもデイトレードに取り組むことができる人は多いだろう。仮想通貨も24時間365日取引可能だ。
自分に合った「トレードスタイル」とは、いったいどのようなものだろうか。また、自分に合った金融商品はどれだろうか――。
少ない資金で投資を始めるのなら......
トレードスタイルを決める際に、「資金がどの程度用意できるか」という点は重要だ。投資資金が限られている場合は、デイトレードが候補となる可能性が高いだろう。
10万円以下の資金で取引を始める場合は、FXのデイトレードが最有力候補となるかもしれない。特に、スキャルピングと呼ばれる超短期売買を行う場合、最低取引単位が1000通貨単位の標準的な証券口座であれば、1~2万円程度の資金でも始めることは可能だ。
投資未経験の知り合いに「FXを始めたいが、どの程度の資金で始めればよいだろうか」と聞かれたら、そのくらいの資金で始めることを推奨している。
少しずつ利益を出せるようになってきたなら、資金を追加して徐々に取引数量を増やしていくのもいいだろう。
一方、中長期投資をする場合は、デイトレードより必要な資金は大きくなることが多い。また株式投資で最低必要な資金は、FXよりも高くなるだろう。株式投資で、中長期投資をするなら、少なくとも100万円は用意したい。
ただ、資金があまりにも大きいと、デイトレードでは問題が発生することもある。
株式のデイトレードの場合、資金が大きいと自分の注文が株価を動かしてしまって、希望の価格で株式が購入できない可能性があるからだ。取引をするうえで、その点は考慮したほうがいい。
中長期投資なら、そうした心配は少ない。十分な資金が用意できる人は、はじめから中長期投資をするほうがいいこともある。
あなたの性格はデイトレ向き、中長期向き?
トレードスタイルを決める際の、もう一つの重要な点は、投資家自身の性格にあるといっていいだろう。
「デイトレード」に求められる適性とは、俊敏な意思決定を連続して正確に下すことができ、そのためにメンタルを常に冷静な状態に保つことができることだろう。
また、デイトレードはチャートの形状を分析して、売買の根拠とするテクニカル分析が一般的だ。チャート分析の技術に長けている人が、短期売買に向いている。
短期売買は、長年の経験にもとづく「勘」が重要となることも多いともいわれている。この「勘」を研ぎ澄ますためにも、メンタルを正常な状態に保つことは重要だ。
では、中長期投資に向いているのは、どのような人だろうか。この戦略に向いているのは、一つの手法を極めることができる人といえる。中長期投資は、さまざまなアプローチがある。だからこそ一つの戦略を極めることが重要なのだ。
中長期投資は、デイトレードより客観的な基準にもとづいて売買することが多い。テクニカル分析とファンダメンタルズ分析の、どちらの分析手法を使うこともできる。なかには、両方を判断基準として採用する投資家もいる。
中長期投資で重要な点はほかにもある。人によっては、含み損を抱えたままでは夜も寝られないということもあるだろう。そのような人は、短期売買に向いている。毎日利益を上げるのは現実的でないかもしれないが、毎月勝ちたいというのなら間違いなく短期売買を選ぶべきだ。
その一方で、気長に成果を待つことができる性格であれば、中長期戦略への適性があるといえるのではないだろうか。(ブラックスワン)